米、露の「不法対北支援」を指摘…事実上の警告メッセージ

米、露の「不法対北支援」を指摘…事実上の警告メッセージ
‐更なる対北制裁違反を防ぐための警告
‐米「対話維持」の立場も強硬な「対北制裁」
米国が国連安全保障理事会が定めた対北制裁に違反したロシアの支援を取り上げ、これ以上の不法行為を止める様にとの事実上の警告メッセージを投げ掛けた。
米国営放送ボイス・オブ・アメリカによると3日、米国議会調査局は2017年の北朝鮮の6回目の核実験後に対北制裁が採択されて以降、北朝鮮との貿易・金融取引などの制裁回避を助けたロシア人他22人を制裁対象に指定した。
また米国議会調査局は、同年の米大統領令13772号により、北朝鮮との石油を不法に取引したロシア人など個人7人、大量殺傷兵器プログラム支援に関わった北朝鮮企業に金属資材を供給した容疑者4人を制裁対象に加えたことも明らかにした。
さらに対北制裁で禁止されている北朝鮮との不法な海上積み替え行為(瀬取り)で石油取引を行ったロシア人10人、今年6月に北朝鮮に対し金融サービスを提供したロシアの機関を制裁対象として指定した。
米国議会調査局がロシアの対北制裁違反の事実とともに、これに関わったロシア人や機関を制裁対象に加えた事実を明らかにしたのは、北朝鮮と不法な取引を行う更なる違反を防ぐための警告とみられる。
米国のトランプ大統領は北朝鮮の金正恩国務委員長との個人的な繋がりを強調し、米朝両国による対話の可能性を口にしてはいるものの、北朝鮮の確実な非核化の意志が見られなければ、対北制裁の緩和や解消は無いというトランプ政権の立場は明らかだ。
米国は対北制裁を通じて北朝鮮を強く圧迫した結果、北朝鮮を非核化交渉の場に引き出す事が出来たと判断しているため、非核化を進展させる過程でも北朝鮮を動かす事が出来る最も効果的な手段が制裁だと認識している。
北朝鮮に対する米国の立場としては、強固な対北制裁維持は対北交渉力を拡大出来るカード。北朝鮮が制裁に苦しめば苦しむほど、より有利な立場で交渉を進められるからだ。よってロシアなど一部国家の制裁回避は、米国が主導する非核化交渉の妨げとなる行為だ。
ロシアは中国とともに北朝鮮が核やミサイル実験を中止し、寧辺(ヨンビョン)など一部の核施設を廃棄した場合、相応の措置で制裁緩和をすべきとの立場で、北朝鮮に様々な支援をしている事が分かっている。
米国議会調査局がロシアに事実上の警告メッセージを投げ掛けたのは、この様な流れからロシアを牽制する必要があるためだったと考えられる。同調査局は、制裁対象に加えたロシア人は米国の金融システムへの接触や米国企業との取引が禁止されるとの事実も明らかにした。
翻訳:水野卓
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