原油価格100ドルまで上昇するか…サウジは復旧に自信満々

原油価格100ドルまで上昇するか…サウジは復旧に自信満々

‐原油供給減り価格上昇不可避
‐北海ブレント油1バレル72ドルに迫る
‐場中上げ幅19.5%と過去最大
‐7月の水準に戻っただけで大きな打撃は無い
‐備蓄分放出はむしろ逆効果との指摘も

国際原油価格が予想通りの急騰を記録した中、サウジアラビアの石油施設の復旧を短期間で終える事は難しく、今後数ヶ月の間は原油供給減少が市場に影響を与えるとみられる。施設の復旧にどの程度掛かるか、またイランとの葛藤がどの様に展開するかにより、原油価格は低くても75ドル、高ければ100ドルにまで上昇するとの見方もある。ただし世界経済を沈滞へと追い込んだ1990年の湾岸戦争とは違い、今回の衝撃は世界景気沈滞にまでは至らないとみられている。

■過去最大幅の上昇…中東緊張
英紙フィナンシャル・タイムズや米経済専門チャンネルCNBCなどの海外メディアによると16日、国際原油価格は過去最大の上げ幅を記録した。

国際原油価格の基準となる北海ブレント油は場中、1バレルあたりで12ドル近く上昇して72ドルまで迫り、最終的に先週末より14.6%上げた1バレル69.02ドルで取引を終えた。また場中の上げ幅は19.5%で過去最大を記録した。一方米国の原油価格の基準となるWTI原油も同様に期近物の価格が場中15.5%上げた63.34ドルまで上昇した。これは2008年12月以降で最大の上げ幅。終値はこれよりやや下げ、先週末より1バレルあたりで8.05ドル(14.8%)上昇した62.9ドルで取引を終えた。

取引量も50億バレルを上回り過去最大を記録した。しかし原油価格が暴騰はしたものの、経済に深刻な衝撃を与える程の大きなものではなかった。大幅な上昇ではあるが、原油価格は7月の水準に戻っただけだ。

米国のドナルド・トランプ大統領が今回も超強硬から緩和への特有の話法を用いて、サウジ石油施設へのドローン攻撃の背後にいると結び付けたイランに対して融和的な態度に転換してはいるものの、依然として緊張は続いている。

トランプ大統領はドローン攻撃直後、2017年に北朝鮮に対して行った最高レベルの警告「戦闘準備をしている」という表現を用いたものの、それ以降は状況を見守ろうとのスタンスを維持し、この日の市場が開く直前にはツイッターを通じて「対応を急がない」というメッセージを伝えた。

しかし攻撃を受けたサウジはどの様な形であれ対応しない訳にはいかない状況に追い込まれている。国連に対し調査を要請したサウジはこの日、ドローン攻撃にイランの兵器が使用されたと発表するなど、イランが背後にいるとの点を継続して主張して来た。米国も同様にイランを背後関係に結び付けている。

この様な中で、サウジの実権者ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が行動を起こさなければ軽く見られると、どの様な形であれサウジがイランに対して制裁を行うだろうとの見方もある。

RBCキャピタルマーケッツの商品リサーチ責任者ヘリマ・ クロフト氏は「サウジが何の行動も取らなければ非常に弱気だと見られる」と、サウジが何らかの対応を取るだろうとみている。同氏は「少なくともサウジがイエメンのフーシ派への爆撃を強化するとみている」と、「しかし今の様な(サウジ施設に対する)攻撃が続くのであれば、イランに対してもう少し直接的な報復を加える可能性も排除する事は出来ない」と話した。

■原油価格100ドルまで上昇も
イランとの緊張が高まり、全世界の原油供給の5%が消滅した状況で、当分の間は原油価格の上昇が避けられないとみられる。IEA(国際エネルギー機関)と米国が「必要な場合」は備蓄石油を供給すると明らかにしており、サウジも同様に減産分を自国の備蓄分に充てて供給する事を明らかにしてはいるが、むしろ市場には逆効果となる事を憂慮する声もみられる。備蓄石油がサウジの生産不足分を埋めるには十分でない上、今後石油供給に更なる問題が起こった場合、衝撃を和らげる緩衝材が無くなり、原油価格暴騰の一因となってしまうという見方だ。

市場では短期的に原油価格の上昇は避けられないとみている。金融大手のゴールドマン・サックスは、サウジの施設復旧に6週間以上掛かる場合、北海ブレント油が1バレル75ドルまで上昇すると予想している。また100ドルとする予想もみられる。石油アナリストとして有名なアゲインキャピタルのジョン・キルダフ氏は「イランとの緊張が高まり戦争に至れば、100ドルの原油価格が再現されるだろう」と話した。

「石油市場の供給余力が今回の攻撃により完全に消滅した(S&Pグローバルプラッツ)」という嘆きの声が聞かれる程、今回のサウジ石油施設攻撃の衝撃が大きいものではあるが、それでも供給減少による世界景気沈滞にまでは至らないとみられる。UBSグローバル・アセット・マネジメントのCIO(最高投資責任者)マーク・ ハフェル氏も「既に製造業の活動鈍化や貿易戦争の深刻化により厳しさを増している世界経済にとって、また別の悪材料である事だけは間違いない」としながらも、だからといって「短期間の石油生産のズレが世界的な景気沈滞をもたらすとは考えていない」と話した。

翻訳:水野卓
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