中国「デジタル人民元」発行秒読み…グローバル金融の覇権狙いか

-中国人民銀行独自のステーブルコイン予告
-Alipay・WeChat Payで決済の大衆化
-海外交易で積極的に活用する可能性
-資金洗浄などの地下経済を水面上に

中国がブロックチェーン・仮想通貨技術を元にした「デジタル人民元」発行の秒読み段階に入った。専門家らはアリババやテンセントなどの世界的なフィンテック企業を育成して来た「フィンテック育成5ヶ年計画」の締め括りとなる2020年を前に、今度は中国がデジタル通貨とブロックチェーン技術で更なるクォンタムジャンプ(大跳躍)の足場を固めていると分析している。

特に中国がデジタル人民元戦略により、世界の基軸通貨となっている米ドルとその金融システムに対する挑戦を本格化するとの見方が広まっている。このため中国人民銀行が独自のブロックチェーン技術で発行する「デジタル人民元(CBDC)」と既に世界的企業に成長している民間モバイル金融サービスを結合し、グローバル金融覇権に挑戦するというのが専門家らの意見だ。

■「ブロックチェーン+金融」で金融覇権?

関連業界によると11日、中国の習近平国家主席が最近、最高権力機構である共産党政治局でブロックチェーン育成案が込められた「ブロックチェーン・プラス」政策を発表したのは「デジタル人民元発行のサイン」とする見方が支配的だ。既に中国人民銀行は「人民銀行が世界で最初のデジタル通貨を発行する中央銀行となる」と公言している。

中国人民銀行が2016年から進めて来た「中国金融業情報技術5ヶ年計画 」は来年で終了する。このためブロックチェーン技術応用分野にデジタル金融とデジタル資産取引などを含んだブロックチェーン育成政策が、中国の次世代グローバル金融覇権を狙ったものだとする分析もみられる。

デジタル人民元は中国人民銀行が発行するステーブルコイン。つまり米ドルやIMF(国際通貨基金)特別引出権(SDR:ドル、ユーロ、ポンド、円、人民元の5大通貨の価値の変動率によりレートが決定)と連動する民間主導のステーブルコインとは違う。中国人民銀行が独自のブロックチェーンの技術力を元に統制するというのが専門家らの見方だ。習主席の発表以降、全国人民代表大会が暗号化技術全般を統制する暗合法を制定し、中国人民銀行がブロックチェーン基盤の貿易金融などを新たなフィンテック認証類型に含んだ事が裏付けとなっている。

複数のブロックチェーン・仮想通貨業界関係者は「中国人民銀行は2014年から政府が主導する仮想通貨技術に関連する法案などを総合的に研究・開発して来た」と、「デジタル人民元が発行されれば、中国政府の支援で成長したAlipayやWeChat Payを通じ、オン・オフライン上での決済・送金分野で直ちに大衆化させるだろう」と予測している。

■「米ドルとの覇権競争は不可避」

中国がデジタル人民元と既存のモバイル金融を融合して得られる最初の効果は、脱税や資金洗浄などの地下経済を水面上に浮かび上がらせる事が出来るという点だ。これは中国政府が保有する家族登録制などの個人情報と既存のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセントの総称)がオン・オフラインを通じて蓄積して来たデータに加え、中国人民銀行が運営するデジタル人民元の金融決済情報が結合される事によるものだ。

また世界の基軸通貨となっている米ドルの覇権に挑戦する可能性も高い。教保証券のエコノミスト、イム・ドンミン氏は「中国が急いでCBDC(デジタル人民元)を導入する背景には、米国に遅れを取っている金融競争力の部分でクォンタムジャンプするため」だと、「今後、外国との交易ネットワークにデジタル人民元を活用した場合、人民元の国際化も成されるだろう」と強調した。

チェーンパートナースのリサーチセンター長ハン・ジュンソプ氏も著書「ビットコイン帝国主義」で、「中国は反米国家に対しドルの代わりに”ビット人民元(デジタル人民元の仮称)”の使用を要請する可能性もある」と、「米国もまたビット人民元の大衆化を必死に防ぐ事で、ブロックチェーン生態系が米国と中国の主導の下で二元化される可能性もある」と述べている。

翻訳:水野卓
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