1981年作の小説「闇の眼」…新型コロナ出現を予言?

‐小説内のウイルスは生物兵器
‐致死率やウイルスの生存力には違いも

中国湖北省武漢市で最初の発病。致命的ウイルス「武漢400」。生物兵器プログラム。ウイルス研究所。

1981年に発表されたディーン・クーンツの小説「闇の眼」のキーワードだ。新型コロナウイルス感染症(コロナ19)が中国から世界に拡散している中、この小説が一部海外メディアに注目されていたが、この小説の予言的な内容が今更ながらに日本でもスポットを浴びている。現在の状況と共通点が多いとの点が注目を浴びている理由だ。

■致死率100%の生物兵器

この小説に登場するウイルスは「武漢400」と呼ばれている。

武漢ウイルス研究所で作られた後、米国に持ち込まれた。このウイルスを培養する過程でミスが起こり、米国で疑わしい死亡例が相次いで発生した。致死率は100%。人間にのみ影響を与え、人の体外では1分以上生存出来ない。感染さえさせられれば、殺傷という目的を達成した後には自然消滅するという点で、「最高の武器」とも呼ばれている。

小説のキモは、中国湖北省武漢市で最初にウイルスが作られたという部分。新型コロナウイルスが最初に確認された武漢までは一致している。しかしウイルスが確認された場所の詳細は未だに分かっていない。現在、武漢ウイルス研究所と華南海鮮卸売市場、それ以外の場所について、いくつかの憶測が飛び交っている。

武漢ウイルス研究所は病原体危険度最高レベルの4級生物安全性標準を兼ね備えた施設。世界では54ヶ所に同様の実験室があるが、中国では唯一の「スーパー実験室」だ。4級の施設ではエボラウイルスなどの研究も可能。2003年に発生し、全世界で774人の命を奪ったSARS(重症急性呼吸器症候群)でも3級に過ぎない。

英国の日刊紙デイリー・メールが25日に初めて疑惑を報じた後、噂が途切れる事がない。武漢ウイルス研究所の職員のウイルス感染死亡説、華南海鮮卸売市場より前に他の場所から流入したとの説、中国軍事当局の4級実験室管理説、武漢ウイルス研究所よりも華南海鮮卸売市場に近い武漢疾病予防管理センターからの流出説などが相次いで浮上した。

中国は即座に反論している。「馬鹿げた話」だと露骨な非難も辞さなかった。逆に香港やロシアの一部では米国が元凶だと指摘している。米国が中国やアジア人を攻撃するために作った生物兵器が新型コロナウイルスだとの主張だ。

■ウイルス研究所以外は確認出来ず

話をまとめると、武漢にウイルス研究所が存在するという点を除いては、確認出来た事実は何一つ無い。武漢ウイルス研究所、華南海鮮卸売市場、それ以外の場所など、発生の場所がどこなのかも確認出来なかった。またそれだけでなく、何が媒介したのかもはっきり分かっていない。センザンコウとコロナウイルスのゲノム配列が99%一致するという論理で「最も有力な」動物として上げられているに留まっている。コウモリ→センザンコウ(ミンク、アナグマ、タケネズミ、ヘビ)→人間という感染経路が推定されているだけだ。

更に武漢ウイルス研究所は小説に描かれている様な生物兵器を作る場所ではない。1956年に設立された武漢ウイルス研究所は健康、疾病、農業などの研究を行うとホームページで紹介されている。

死亡率とウイルスの外部での生存力にも違いがみられる。小説では一度感染すれば間違いなく死に至るウイルスで、人の体外では1分も生存出来ないと描かれている。

しかし新型コロナウイルスの場合、日々数値が変化する事を考慮しても、死亡率は平均で2.5%程。SARSの10%、MERS(中東呼吸器症候群)の19%、エボラ出血熱の42%からみると、死亡者は3級病原体よりも低い。

外部での生存率も小説とは違う。米CNNは新型コロナウイルスの様なウイルスが金属やガラス、またはプラスチックなどを含んだ無生物の表面で9日間生存した事を確認したという研究結果を報じた。

ワクチンが無いという点は同じだ。しかし新型コロナウイルス感染症は相対的に死亡率が低いという事もあり、完治して退院する患者も多い。各国の医療陣はHIV治療剤や漢方薬などで新型コロナウイルスを抑えようと努力している。最初の発生地域も小説では米国としているが、実際は武漢地域に集中している。

香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポストは小説家の卓越した知識が偶然の一致を生み出したと指摘している。クーンツは米国のベストセラー作家であり、スリラー作家の大家として評価されている人物。よって僅かな事実や情報を得て、その様な話を創り上げる能力があると同紙は報じている。

香港のある出版関係者は「武漢を中心に揚子江が東西に流れ、高速鉄道が南北に走る」と、「フィクションであれ、事実であれ、感染症が広がるのに、これほど良い場所はない」と話している。

実際、武漢は中国中部の政治・経済・文化・交通の要衝。揚子江とその支流となる漢水の合流点に位置し、水上交通にも最適の場所だ。

翻訳:水野卓
Copyright ©The financialnewsjapan. All rights reserved.

関連記事

ピックアップ記事

  1. 米国経済は新型コロナウイルス感染症の影響で、今年第2四半期に過去最悪の成長率-32.9%を記録した。…
  2. 一時出国した後、日本への再入国が閉ざされていた留学生や駐在員などの再入国が、来月初から制限的に許可さ…
  3. ビットコイン(BTC)が1万1000ドルラインを突破した。ビットコインの価格が1万1000ドルを超え…
  4. アップルは来たる9月8日に新製品発売イベントをオンラインで開催し、アイフォン12やアップルウォッチ第…
  5. 世界の新型コロナウイルス感染者が今月26日時点で1600万人を超えた。依然として米国の感染者数が最も…

おすすめ記事

  1. 米国のドナルド・トランプ大統領がマスクをするのが「愛国」だとツイートし、マスク着用推進に動いた。…
  2. 世界の新型コロナウイルスの累積感染者数が1000万人を超え、感染再拡大の恐怖が現実化している。ワクチ…
  3. WHO(世界保健機構)が新型コロナウイルスの感染拡大はまだ進行中であり、来週には全世界の患者数が10…
  4. 北朝鮮から脱北し韓国で国会議員に当選した池成浩(チ・ソンホ)議員は4日、「北朝鮮住民の知る権利も保障…
  5. 令和2年5月27日時点で日本政府と自治体が実施している支援金・給付金制度をまとめました。実施予定の…
ページ上部へ戻る
Translate »