ギリシャ、8年に及ぶEU金融支援から脱却…リスクは解消されず

ギリシャ、8年に及ぶEU金融支援から脱却…リスクは解消されず
欧州連合(EU)のギリシャへの金融支援が20日、終了した。これでギリシャは2010年から始め、約8年に及ぶ国際債権団の干渉から逃れるようになった。しかし、莫大な債務や深刻な国内経済の不況など依然として問題は山積しており、回復への道のりは不透明だ。
同日、ユーロ圏の債務危機対策基金である欧州安定機構(ESM)のマリオ・センテノ議長は声明を出し、「ギリシャが第3次金融支援プログラムを成功的に終えた」と述べた。
■金融支援、8年ぶりの脱却
2009年当時、国内総生産(GDP)の13%に達する財政赤字を記録したギリシャ政府は翌年4月に欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に資金の支援を求めた。国際債権団はギリシャが財政赤字を同年GDP比で7.5%まで縮小する条件に1110億ユーロを支援することにしたが、これは実現可能性のない計画だった。結局ギリシャは2012年3月と2015年8月に2回の追加金融支援を求め、8年間で世界史上最大規模の金融支援となる2890億ユーロを受けた。
莫大な資金を出した債権団はギリシャに対し、年金制度の縮小をはじめとする大規模な支出削減を要求した。2015年の総選挙で勝利した左派のアレクシス・チプラス政権は、前より強化された第3次金融支援案を受け入れてこの3年間、大幅な歳出削減に取り組んだ。
チプラス政権は2016年から連続でGDPの4%に達する財政黒字を達成した。GDPも今年の第1四半期まで5期連続で成長した。2013年に28%にまで上がった失業率は今年5月時点で19.5%となり、7年ぶりに20%を下回った。
■リスクは解消されず
これからギリシャは追加の金融支援を受ける必要はないものの、既に借りた金は返済しなければならない。ギリシャ政府の負債は昨年時点でGDPの178%に達していて、相変わらずユーロ圏最大の負債を抱えている。
「糠(ぬか)に釘だ」として第3次金融支援から抜けていたIMFは、ギリシャの負債が返済不可能なレベルだとみて、欧州債権団に一部の負債を帳消しにするように求めていた。しかし、ドイツなど一部のユーロ圏の国家は債務減免には応じない姿勢を示している。ギリシャは債権団との協定どおり2022年までGDP比3.5%の財政黒字を維持し、黒字の規模を2060年まで2.2%に上げなければならない。
英紙ガーディアンは20日、金融支援期間中にギリシャで実施された緊縮財政の結果、広い範囲で永久的な損傷を残したと報じた。また同紙は、「度を過ぎる緊縮策のせいで社会全般が疲弊し、景気に活力を与える社会基盤施設への投資も後ろ倒しになった」と指摘した。経済協力開発機構(OECD)によると、平均的なギリシャの世帯が昨年に税金および公共部門の支出として使った金額は、収入の39%を超えている。チプラス政権は来年と再来年にも追加の年金削減や増税を実施する予定だ。
英紙ファイナンシャル・タイムズは「過度な課税は社会的な生産性に否定的に作用する可能性がある」と分析した。また、同紙は「ギリシャの金融正常化や外国人の投資拡大が切実だ」とし、「今回の金融支援終了は経済回復へ向かうための単なる道標に過ぎない」と指摘した。
翻訳:尹怡景
info@fnnews.jp
Copyright © The financial news japan. All rights reserved.
ファイナンシャルニュースジャパン