
(写真は「Newin Japan」のハン・ギナム代表)
新型コロナウイルスの感染拡大でソーシャルディスタンスが当たり前の世の中になり、対面教育で発生する費用負担が重くなる中、社員研修にも非対面型が好まれつつある。eラーニング専門企業「(株)Newin」が2015年にスタートした「Touchclass(タッチクラス)」は管理者中心の一方的なeラーニング学習ではなく、企業内部の教育コンテンツや文化の創出を導くソリューションとして注目を浴びている。日本でTouchclassを使用するユーザー数もコロナ禍で急激に増加した。
Touchclassはオンライン教育ソリューションとしてモバイル環境に最適化されており、学習者は時間と場所を選ばず、自身のスマートフォンで、いつどこででも教育への参加が可能だという点が強みとして浮上している。
2020年に日本法人を設立し、世界市場進出を先導する社員研修専門企業「Newin Japan」のハン・ギナム代表に、今後更に活性化するであろう社員研修市場について聞いてみた。
問)Newinはどのような企業でしょうか?
Newinはコンテンツに関するソフトウェアを開発するソリューション企業です。既存のeラーニング、HRD教育市場を変えてみせるとの夢を抱いて事業をスタートさせ、社員研修分野では聞き慣れないSaaS(Solution as a Service)を開発し、提供しています。その結果、サムソン生命、サムソン火災、イーマートなど様々な韓国の大企業のみならず、韓国トヨタなどの日系企業でも導入し利用される、人材育成のための教育ソリューションとして位置づけられています。
問)Newinという企業名にはどのような意味があるのでしょうか?
新しいという意味のニュー(NEW)と、人という意味の(韓国語)イン(IN)を組み合わせた言葉で、「常に新たに目覚める人になりたい」という意味です。一方で、ニュー(NEW)と、ウィン(WIN)を組み合わせれば、新たな勝利を意味することにもなり、eラーニング業界に新たな風を起こしたいとの願いも込められています。新たな勝利のために、新たな努力をする人たちの企業という意味だと言えるでしょう。
問)日本進出の契機は何だったのでしょうか?
海外サービスを計画し、米国、日本、フィリピン、インドネシアなど様々な地域でプロモーション・イベントを行いましたが、その中で日本の反応は最も熱いものでした。「テキスト基盤のコンテンツに関心が強い」、「マニュアルを重視する文化」などの日本文化の特性から、他の国より効果的な進出が可能だと判断し本格的な日本進出を準備しました。2020年9月に日本法人「Newin Japan」を設立し、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の地域を中心に現地商社と提携して一般企業、リクルーティング業界、学校など20カ所以上の顧客を確保しました。現在小学校の国語教科書をTouchclassのコンテンツとして製作し、授業の教材として活用していますが、学生や保護者、教師らに大変ご好評を頂いております。来年の正式事業に向けて現在、日本現地に合わせたフォント、絵文字、縦書きなど様々な機能を開発支援しています。この他にもTouchclassを利用した各地域での会員企業対象のセミナー開催を計画していますし、最近では大学病院でも教授自らが講義を撮影しアップロードしたり、手術現場をライブ放送するなど、様々な方法で活用されています。
問)Touchclassに対する日本市場の反応は爆発的ですが、通常のソリューションに比べ、差別化された特徴は何でしょうか?
既存の社員研修市場がコンテンツに集中する中、Newinはソリューションに集中して来ました。数百、数千個に及ぶ千篇一律なコンテンツだけを提供し、職員らが受け身で宿題のように学習する企業教育文化を無くしたかったのです。企業自らが内部教育コンテンツを用意に作成し、職員らがそのコンテンツを楽しく学習し、担当者は改めて教育の成果を分析できるように提供できれば、それが最高の成果をもたらす企業教育ではないかと考えています。Touchclassはそのような目標を持って、ソリューションを企画開発するようになりました。Touchclassを利用する顧客企業担当者は誰でもコンテンツ・クリエイターとして、多様なコンテンツを自ら作成することが出来ます。また単純なコンテンツ学習だけでなく、そのコンテンツ内で職員らが進んで参加し、意見交換が出来るようにしていることも強みです。最も強力かつ効果的な職務教育は業務現場からもたらされると考えています。職員自らが自分たちの業務のノウハウを公開し、話し合えるようにするだけでも、大きな成果を収められるでしょう。
問)Touchclass独自の機能を教えて下さい
Touchclassにはゲーミフィケーション、ソーシャルラーニング、ライブ講義など様々な機能がありますが、その中でもソーシャルラーニング機能をご紹介したいと思います。Touchclassの企画開発時、一番最初に開発した機能でもありますが、満足度、活用度が最も高いです。Touchclassのコンテンツは、テキスト、イメージ、動画、オーディオ、クイズ、アンケートなど様々な要素を組み合わせて作成できるのですが、それぞれの要素別に学習者が質問をしたり、意見を残すことが出来るようになっています。技術的に飛び抜けた機能というよりも、eラーニングで誰も試みなかった新しいアイデアだという点で意味が大きいと言えるでしょう。学習者も最初は自身の意見を記すことに負担を感じますが、絵文字を活用して楽しく、またゲーミフィケーションによる督励を経て自然に参加するようになります。現場で活用していた本人だけの業務ノウハウ、自身の企業製品に対するアイデアなど職員らの様々な意見が集まり、新たな別のコンテンツになることもあります。

「Newin Japan」のハン・ギナム代表