駐大阪大韓民國総領事館・金亨駿総領事、「万博の開催、国家ブレンド力の強化に繋がるはず」

– 大阪万博を通して国際社会に貢献する韓日パートナー関係際立ち
– 世界が釜山の潜在能力を必ず評価すると信じ
– 韓日関係は改善と修復を越え未来志向的な関係へ

2022年9月、駐大阪大韓民國総領事として赴任した金亨駿総領事(釜山出身)は、釜山が2030年の万博誘致に成功し、新たな跳躍の足掛かりとなることを誰よりも切実に願っている。「大阪には愉快でコミュニケーション能力の高い人が多く、また単純明瞭な気質が釜山と似ているため親近感を覚える」と表現するほど、大阪に対する格別な想いを持つ。また「1970年と2025年、2度も大阪で万国博覧会が開催されるのは大きな快挙であり、大阪だからこそ可能なこと」であると強調した。2030釜山世界博覧会(釜山万博)誘致の結果があと1ヶ月余りで決まる。18日、大阪市中央区に位置する駐大阪大韓民國総領事館で金亨駿総領事に伺った。

-「2025大阪・関西万博」に対する立場と韓国の準備状況は。

▲世界的なイベントである万博が隣国日本で開催されることを歓迎し、成功のための支援を惜しまない予定である。同万博で、韓国は「時間」「空間」「人」の繋がりを通して具現化した持続可能な未来社会をコンセプトに掲げ、1000坪を越える敷地内に大型パビリオンを建設中である。韓国館の建設は産業通商資源部(日本の経済産業省に相当)が主管しており、傘下機関である大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の社長が去る4月、政府代表として選任された。2022年、公募を通して建築設計が確定した韓国館は、来年初旬の着工を目標としており、グローバル・スタンダードを先導する「韓流」を中心に、韓国の先端技術と文化を紹介する様々なコンテンツを設ける予定だ。

韓国政府の立場としては、発展した文化と技術をその場で披露するだけでなく、韓日関係の完全なる正常化と2030年釜山万博の誘致に拍車をかける意味でも大阪万博の成功を願いながら韓国館の準備に注力している。特に今回の大阪万博を機に、韓日両国が未来の人類に託された課題に共に取り組むパートナーとして、協力関係を強化していけるのではという期待が大きい。韓國と日本は自由、人権、法治主義という普遍的な価値を共にする関係であり、経済や科学技術、グローバルアジェンダ等の面で緊密に協力しながら国際社会に貢献することができる隣国同士である。大阪万博を通して韓日両国が共に人類の未来をリードし、国際社会に貢献していくパートナーであるという事実が際立つよう、日本当局と緊密に協議していく予定である。

-「2030釜山万博」誘致のため、大阪・関西においてどのような動きがあるのか。

▲オリンピック、ワールドカップと並ぶ国際的な3大イベントの一つである万博を釜山に誘致するために政界・財界の重鎮達が一肌脱いで声を上げる中、2025年万博の開催地である大阪・関西で釜山万博に対する熱望を伝えるという主旨から母国の代表団が訪問して来たり、総領事館として各界における主要な人物に支援を要請するなど、活発な動きがある。また、2022年9月にSK・崔泰源会長と2025年日本国際博覧会協会・松本正義副会長が面談したことを皮切りに、翌月10月には釜山市・朴亨埈市長が多忙な合間を縫って東京、大阪等を縦横無尽し、元・森喜朗総理や公明党の山口那津男代表に加え大阪府・吉村知事及び万博協会の関係者達を訪問しながら釜山万博の誘致活動を行った。今年に入っては3月に与野党の国会議員で構成された釜山万博誘致支援特別委員会と釜山市の経済副市長がそれぞれ大阪を訪れただけでなく、去る6月には釜山市議会万博誘致支援特別委員会の代表団が訪問し、釜山万博の誘致を謳った。特に経済副市長が訪問した際、釜山市と大阪市の間では万博の開催や誘致で相互協力する旨の覚書が締結され、万博を中心とした両都市間の協力関係が強化された。

また駐大阪総領事として、大阪万博の成功的な開催のために韓国が積極的に支援することが、釜山万博の誘致に対する大阪・関西の支持にも繋がると確信し、様々な場面において大阪万博の開催と釜山万博の誘致に対する関心を促している。各自治体の知事や市長、地方議会の議長をはじめ、自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会等、日本国内の主な政党の政治家と30回以上面談の機会があり、その度に欠かさず釜山万博に対する支援を呼び掛けてきた。更に関西経済連合会、大阪商工会議所、関西経済同好会等、関西における3大経済団体の代表全員との面談に加え、関西の主な企業を訪問する度に釜山万博の必要性を積極的に説明してきただけでなく、当館が主催するレセプション・パーティーや各種シンポジウム、イベントでも釜山万博の誘致に向けた広報活動を継続的に行ってきた。このような努力が釜山の2030万博誘致に繋がることを願ってやまないとともに、最終発表まで残りわずかとなった今の時期にも、広報や支援要請などにラストスパートをかけていきたいと思う。

-2030釜山万博に関する期待と希望は。

▲2030万博誘致のため、釜山以外の競合都市も熾烈な誘致活動を繰り広げている。他の都市もそれぞれの特徴はあるが、その中でも釜山の競争力はかなり高いと確信している。国民的な支持のみならず、万博を誘致しようとする韓國政府の情熱と釜山市民達の声援と関心は他のどの競合都市よりも熱い。それだけでなく、釜山は万博誘致のための緒条件が十分整っている。釜山は世界第2位のハブ港であり、多彩な海洋文化を誇るインド-太平洋の入り口である。APECやASEANの首脳会議など、大規模な国際会議の開催経験とノウハウがあり、代表的な「釜山国際映画祭」の様にK-Movieの聖地でもある。世界が釜山の潜在能力を必ず評価すると信じている。大阪に続き釜山で万博が開催されるとなれば、地理的な隣接性を活用して様々な交流・協力事業が可能になり、ひいては韓日両国の経済活性化と国家ブレンド力の強化に繋がると思う。また、韓日両国の強固なパートナーシップを基にした経済発展は、東アジアだけでなく、アジア全域の経済成長と持続可能な発展にも大きく寄与するはずである。

-韓日関係の現況に対する評価及び展望、また駐大阪総領事としての抱負は。

▲尹錫悅政府発足後、韓日関係は画期的に変化した。言葉だけでなく実践を通して韓日関係の改善を成し遂げた尹大統領の意思と果敢な決断により、両国の関係は正常ルートへと復元した。今年3月、尹大統領の訪日に続き、5月には岸田総理が訪韓したことによって、長期間途切れていた首脳同士のシャトル外交が再開された。尹大統領の就任以降、8回に渡って韓日首脳会談が開催され、両首脳間の信頼関係が強化された。去る8月には米国のキャンプ・デービッドにて歴史的な韓日米3ヶ国間首脳会談が開催され、3ヶ国の関係に新たな道標が示された。韓日関係は改善と復元を越え、より一層グレードアップされた未来志向的な関係へと進んでいる。このような時期にまず大事なのは、両国関係が再び過去の様に厳しい時期へと回帰しないよう、現在の勢いを保ち続けることである。また、両国関係が諸々の外部要因によって揺れ動くことがない様、堅固かつ安定した基盤を構築することが重要である。現在、各方面で復元されつつある両国間の協力チャンネルが制度化され、定着するように務める必要がある。

関東地方と並んで日本の2大都市とも言える関西地方を管轄する駐大阪大韓民國総領事として、韓日関係のグレードアップに貢献するため最大の努力を注いでいる。具体的には①在日同胞の権益保護等をはじめ、日本に滞在している同胞達の安全と便宜の確保、②自治体間交流等、韓國-関西間における活発な地域交流、③企業間交流及び協力を中心とした韓國-関西間の活発な経済協力、④民間レベルの交流と協力の活性化、⑤韓日間友好増進の架け橋となる在日韓國人留学生の安全と権益保護という5つの方面から韓國と関西地方における関係強化に努めて参る。

-第22代韓國の国会議員選挙における在外選挙の準備状況は。

▲来年実施される第22代国会議員選挙は大韓民國の新たな未来を率いる地域の代表者を選出する重要な選挙である。今回の選挙でも海外在住の在外国民を対象とした在外選挙が行われる。在外国民対象の投票は2024年3月27日から4月1日まで実施される予定であり、事前の申告・申請が必須である。そのために2023年11月12日から2024年2月10日までインターネット、訪問、郵便などの方法を通して国外不在者申告書などの書類を受け付ける予定だ。昨年の大統領選挙の際は、当館管轄地域内の全4ヶ所に投票所が設けられたものの、在外国民数に対して投票率が低かった経緯がある。母国である大韓民國と在外国民自身のため、最も貴重な権利である投票権を必ず行使して下さることを願う。当館と在外選挙管理委員会は、在外投票の公正な管理及び投票率アップのために全力を尽くして参る所存であり、在外国民の皆様においても積極的な関心と参加を期待している。

■ 略歴△1966年生、釜山出身△慶應義塾大学商学部卒業△延世大学行政学修士△湖西大学ベンチャー大学院経営学博士△大統領府春秋館長(現:対外協力秘書官)△在日韓国留学生連合会会長△慶應義塾大学韓国同窓会会長△第20代大統領職引き継ぎ委員会当選人秘書室国民疎通チーム長△駐大阪大韓民國総領事(現)

白琇晶 記者 
sjbaek@fnnews.com
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