米中間選挙の観戦ポイント

米中間選挙の観戦ポイント

今年の米国中間選挙が約2か月後に迫っている。3月6日にテキサスで始まった共和党と民主党のプライマリー(予備選挙)は今月11日、ニューハンプシャーとロードアイランドで終わりを迎える。記者の住む町では、既に候補者たちを知らせる掲示が登場している。

大統領職の任期が半期を経過した時点で実施される中間選挙では、各州の州知事選挙が並行して行われる。しかし中間選挙最大の関心事は、やはり上下院選挙である。任期2年の下院議員全員と、任期6年の上院議員のうち3分の1が改選となる。今年の上院選ではミネソタとミズーリの特別選挙を含め35議席の主人を決める。現在の議席配分は、上下院いずれも共和優勢だ。上院は共和51議席、民主47議席、民主寄りの無所属が2議席となっている。一方下院は、共和236議席、民主193議席、空席が6となっている。

中間選挙は度々、大統領と与党に対する中間評価と見なされる。そのため、与党に対し不利な結果が出ることが多かった。民主党のバラク・オバマ大統領時代の2010年、共和党は下院で64も議席数を増やした。一方民主党は、共和党のジョージ・ブッシュ大統領時代の2006年、中間選挙にて下院の議席を32増やした。現況も民主党が有利である。最近公開されたギャラップの市場調査によると、トランプ大統領を支持するという回答が42%、支持しないという回答が52%であった。過去、大統領の支持率が50%を下回る状況で行われた中間選挙は、与党の議席喪失につながるケースが多かった。

様々なアンケート調査の結果を集約し平均値を算出するリアルクリアポリティクスによると、政党支持率では民主党が共和党を7.9%上回っているという。CNNが世論調査機関SSRSに依頼し先月9~12日に実施された調査でも、民主党支持率は52%と共和党の41%を11%上回る結果となった。このような両党の支持率差は、6月の8%からさらに広がっている。統計学者のネイト・シルバー氏が運営するサイト「ファイブサーティエイト」は、今年の中間選挙次第で民主党が下院多数党となる確率を約70%と予測した。

数日前に公開されたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の世論調査によると、選挙に臨む両党支持者らの姿勢にも差が見られる。中間選挙への関心が高いという民主党支持者の割合は63%で、共和党の52%よりも高かった。過去に比べ今回の選挙がより重要だと回答した民主党支持者は63%と、こちらも共和党の43%を上回る。中間選挙後、どの党が多数党となるかという問いには50%が民主党、42%が共和党と回答した。また、選挙資金の募金額においても民主党が共和党を凌駕した。101ある選挙区のうち71で、民主党候補が共和党候補より多くの講演金を確保したものと調査されたのだ。

現時点においては、上院は共和党が多数党の地位を維持し、下院は民主党が掌握することになるだろうとの見方が優勢だ。世論調査で不利な結果が出たにも関わらず上院で共和党優勢なのは、民主党が守らなければならない上院の議席数が26と、共和党に比べはるかに多いためだ。さらにこの中で、ウェストバージニアなど現在民主党の現役議員が保有する10議席は、2016年の大統領選でトランプ大統領が勝利を収めた地域だ。対する共和党は9議席のみを確保すればよい。トランプ大統領も、共和党が下院多数党を維持することは難しいと発言している。

2018年の中間選挙は、就任後最大の政治的危機に追い込まれたトランプ大統領の命運を賭けた一大決戦だ。米国はもとより国際社会の関心も大きい。

トランプ大統領が自身の女性スキャンダルを隠蔽するため、2人の女性に対し金銭の支払いを支持したという元側近の証言が仮に事実であり、またそれにより中間選挙で民主党が勝利した場合、弾劾に向けた動きが本格化する可能性がある。

共和党が多数党の地位を失うようなことになれば、それはトランプ大統領にとって悪夢であるだけでなく、国際的にも大きな波紋を及ぼしかねない。貿易戦争などで世界秩序に混乱を招いているトランプ大統領。その運命を占う今回の中間選挙から、目が離せない。

ワシントン特派員チャン・ドソン記者
翻訳者:M.I
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