石破首相は12月26日、東京丸の内の東京会館で開催された読売国際経済懇話会(YIES)で講演し、脱炭素社会の実現に向けた地域産業の集積推進と、次期通常国会にAI(人工知能)規制法案を提出する方針を表明した。また、偽情報の拡散防止を目的とする「オリジネーター・プロファイル(OP)」技術の導入の必要性にも言及した。
脱炭素地域での産業集積推進
石破首相は、北海道や秋田など洋上風力発電が進む地域を例に挙げ、「脱炭素電源が豊富な地域に企業投資を呼び込み、新たな産業の集積を目指す」と述べた。具体的には、半導体関連企業や生成AI向けのデータセンター誘致を進める考えを示し、急増する電力需要に対応するために「原子力発電の利活用も含め、日本経済をエネルギー制約から守り抜く」と強調した。
AI規制法案と偽情報対策
首相はAI研究開発や規制の枠組みを明確にする法案を次期通常国会に提出する方針を明言。AIによる偽情報拡散の懸念に触れ、「健全な言論空間が民主主義には不可欠だ」と強調した。また、情報の発信者を明示する技術であるOPや情報の来歴を証明する技術の導入が重要であると述べた。
外交と安全保障の展望
外交では、2025年1月上旬に予定されているマレーシアとインドネシアへの訪問計画を明らかにし、米国トランプ次期大統領との早期会談の意向も表明。日米安全保障体制を基軸とした協力を通じて、「地域の平和と国益の相乗的な向上を目指す」と述べた。
地方創生と防災立国の構築
地方創生については、「地域の魅力を高め、生きがいを持って暮らせる楽しい日本を目指す」と表明。特に避難所の環境改善などを通じて、「人命最優先の世界一の防災立国」を目指す方針を強調した。
理想の国家像
質疑応答で理想の国家像を問われた石破首相は、「国家は独立(インディペンデント)かつ持続可能(サステナブル)であるべきだ」と主張。現状については、「人口維持やエネルギー確保、食料自給率の観点で改善が必要」と述べ、独立性と持続可能性の両面で課題を指摘した。
石破政権は、地域産業の集積やAI規制を含む新たな政策を通じて、脱炭素社会や持続可能な日本の実現に向けた取り組みを進めていく考えを示した。













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