メキシコ大統領、グーグル提訴「メキシコ湾を『アメリカ湾』と誤記」

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は9日、米グーグル社が提供する地図アプリ「グーグルマップ」上でメキシコ湾を米国内向けに「アメリカ湾（Gulf of America）」と表記していることに対し、同社を提訴したと発表した。

訴訟の提起時期や管轄裁判所など具体的な法的手続きの詳細は公表されていない。シェインバウム大統領は同日の記者会見で、「米国がメキシコ湾全体に『アメリカ湾』という名を公式に付けたわけではない」と指摘し、2019年に同名称への変更を命じる大統領令に署名したトランプ前大統領との間で直接的な対立姿勢を取る意図はないと強調した。

一方、米国議会下院では共和党主導のもと、同湾の呼称を「アメリカ湾」と正式に変更する法案が8日、賛成多数で可決された。しかし上院では共和党が議事妨害を回避するために必要な60議席を確保しておらず、同法案が成立する可能性は低いと米主要メディアは伝えている。

今回の件を受け、メキシコ国内では領土的尊厳と主権を巡る議論が高まりつつあり、政府の強硬姿勢が国民の支持を集める可能性もある。グーグル社は本件に関する公式なコメントを出していない。