宅配ピザ業界の歴史は、栄枯盛衰の繰り返しである。競争激化による大量閉店や自己破産など、その興亡の背景を分析する。
「今夜はピザる？」、「ピザーラお届け！」といったキャッチフレーズでおなじみの宅配ピザ業界。1985年に「ドミノ・ピザ」が日本に初上陸してから約40年、日本国内の宅配ピザ店舗数は2500店舗を超え、すっかり身近な存在となった。しかし近年、大きな変化が訪れている。
2024年、かつて業界を牽引した「ドミノ・ピザ」は全国各地で大量閉店を余儀なくされ、一方「シカゴピザ」は自己破産に追い込まれた。業界を代表する老舗チェーンがなぜ衰退したのか、そこには競争激化、消費者のニーズ変化、さらにはコロナ禍という複合的要因が絡んでいる。
宅配ピザが普及した背景には、日本に元々あった「出前」文化を発展させ、「焼き立て感」や「シェアしやすさ」、「プレミア感」といった独自の魅力を提供したことが大きい。1980年代、東京・恵比寿に出店したドミノ・ピザ1号店が月商3000万円という驚異的な売上を記録し、業界全体が盛り上がったのもその証拠だろう。
しかし、業界の状況は変わった。現在、「ピザーラ」、「ピザハット」、そして新興勢力の「ナポリの窯」などが市場を支配し、新たな競争軸を作り出している。さらに、スーパーやコンビニの冷凍ピザや食品宅配サービスの多様化なども、従来の宅配ピザにとって脅威となった。
今後、宅配ピザ業界が再び栄えるか、あるいはさらなる衰退へと向かうか、その行方は各社の変化への対応力にかかっていると言えるだろう。
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