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「大学授業料無償化」3浪以上は対象外 公平性に疑問の声

日本で進められている大学授業料の無償化制度に「3浪以上は対象外」という規定があり、制度のあり方に疑問を投げかける声が上がっている。

制度は2020年度に導入され、少子化対策の一環として大学や短大、高専の学費を国が支援するものだ。今年度からは多子世帯に対する所得制限が撤廃され、支援対象は約84万人に拡大した。国公立大では入学金28万円、授業料年54万円までが免除され、私立大も入学金26万円、授業料年70万円までが軽減される。

しかし、支援を申請した関西在住の女性は、4浪の末に国立大に入学した長男の申請が却下されたことに納得できないと訴える。理由は「高校卒業から大学入学まで2年以上経過した者は対象外」という規定だった。女性は「努力の末に合格した本人が報われない」と不満を漏らす。

文部科学省の担当者は「専門学校に進学すれば2年で社会に出ることを参考にした」と説明している。統計によれば3浪以上の学生は全体の約1%(6000人程度)にとどまるが、全員を支援対象とすれば年間約32億円の追加費用が必要になるという。

進路アドバイザーの倉部史記氏は「高校卒業直後の進学を前提とした制度設計は画一的であり、挑戦の機会を奪いかねない」と指摘する。浪人や回り道を経ても大学教育を受けられる環境を整えることは、社会全体の人材育成につながるという見方も根強い。

制度の財政負担と公平性、そして若者の挑戦機会をどう両立させるか。今後の議論が注目される。

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