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自民党総裁選、選択的夫婦別姓めぐる議論後退

自民党総裁選(4日投開票)で、選択的夫婦別姓制度をめぐる論争がほとんど姿を消した。前回の総裁選では主要な争点の一つだったが、今回は5人の候補全員が党内融和を優先し、導入に慎重な姿勢で足並みをそろえている。

昨年の総裁選で制度導入を看板政策に掲げた小泉進次郎農林水産相は、当時「法案を1年以内に提出する」と公約した。しかし保守派から「強行すれば党が割れる」と反発を 받으며支持拡大に失敗。今回は「国民の理解や与野党の合意が必要」と述べ、実現時期を明示しないなどトーンを落とした。

導入に否定的な高市早苗前経済安全保障担当相や小林鷹之元経済安保担当相、林芳正官房長官は「改姓による不便は旧姓の通称使用拡大で対応すべき」と主張。林氏は前回「個人的には(選択的別姓が)あってもよい」と発言したが、世論調査の動向を踏まえ慎重姿勢に転じた。茂木敏充元幹事長も「家族の絆や戸籍制度の重要性」を強調しつつ「合意形成を急ぐべきではない」と曖昧な立場にとどまった。

若年層や女性を中心に導入を望む声は根強く、経済界からも女性活躍推進の観点で早期実現を求める声が上がってきた。昨年は小泉氏に加え、石破茂首相や河野太郎前デジタル相らが前向きな姿勢を示し、論戦が盛り上がった経緯がある。

しかし通常国会では、自民・公明が少数与党の中で、立憲民主党と国民民主党が導入法案を、日本維新の会が旧姓使用法案を提出したものの、いずれも採決に至らなかった。自民党は党内の意見をまとめられず、存在感を発揮できなかった。

さらに7月の参院選で、導入反対を掲げる参政党など新興保守政党が議席を伸ばしたことが、自民党の慎重姿勢を強める要因となった。ある中堅議員は「失った保守層を取り戻す必要がある」と危機感を語り、小泉陣営の関係者も「現状では別姓実現は難しく、当面は棚上げせざるを得ない」と認めた。

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