20年名声の韓国焼肉祭りが存廃の岐路に… 流行りの食レポ番組のせい?

20年名声の韓国焼肉祭りが存廃の岐路に… 流行りの食レポ番組のせい?
‐食レポ番組やSNSで人気下落
‐続く赤字にフェスティバル参加店舗減少
韓国・蔚山市(ウルサン市)の自慢のお祭り「彦陽プルコギ・フェスティバル」が存廃の岐路に立たされ、地域経済に暗雲が立ち込めている。インターネットで検索可能な‟モクバン”(個人の食レポ番組)の情報や、個人の実体験に裏付けられたSNSを通じ、より具体的なグルメ情報が溢れており、フェスティバルの効果が半減しているためだ。
彦陽プルコギは、味付けした牛肉を網にのせて炭火で焼いて食べる料理。上質の韓牛と特有の濃い味で美食家や旅行者を魅了してきた。グルメ通り「彦陽プルコギ通り」もでき、2006年には韓国唯一の「韓牛プルコギ特区」に指定されている。
「彦陽プルコギ・フェスティバル」は1999年から始まった。彦陽プルコギのPRのためだったが、同フェスティバルへの参加が近年著しく低下しつつある。当初30店に達していた彦陽プルコギ通りのプルコギ専門店も、現在では16店だけが営業を続けている状態。
今年のフェスティバルは今月19〜21日に予定されていたが、開催されないまま延期となった。
■モクバンやSNSがPRチャンネルに
一部では、これ以上フェスティバルの実効性が無いという指摘も出ている。フェスティバルは、地域グルメをPRする事が目的なのだが、モクバンやSNSが、十分にその役割を果たしているというのがその理由だ。
ある店舗の関係者は、「モクバンを通じて、グルメ店として口コミが広まった店舗の場合、フェスティバル参加で、却って1000万ウォン(約100万円)近い損失を見る状況が発生する。フェスティバル参加費用やスタッフ支援などで費用が掛かり、参加せず通常営業するほうが得となるケースが多く、参加をためらう店もある」と話した。
これについて主催者である繁栄会の関係者は、「有名店舗が繁盛する事を止める事は出来ないが、相対的に他の店舗ではその分の営業不振を経験する事になる」と、「国内唯一の韓牛プルコギ特区の共存のための配慮が必要だ」と惜しんでいた。
開催を求める繁栄会の会員らは、規模を縮小する案まで出してはいるものの、それさえも内部調整が難しい状況だ。ある会員は、「分散開催時、フェスティバルの体裁が保てないとの理由で、予算を支援する側が反対したと聞いている」とも話した。
■今年の「彦陽プルコギ・フェスティバル」開催は不透明
「彦陽プルコギ・フェスティバル」は、2014年までは提供された韓牛が120頭に達していた。全国各地で韓牛を使った同様のフェスティバルが開催されるようになると、2015年には100頭、2016年には55頭まで減少した。2017年は70頭とやや盛り返したものの、フェスティバル参加店舗の黒字を期待するのは難しいとの指摘もある。
一般的なフェスティバルの大半は自治体主催で開催され、赤字が発生しても補填されるが、このフェスティバルは会員店舗らにより構成される「彦陽プルコギ繁栄会(フェスティバル推進委員会)」が主催している。よって売上が振るわなかった場合は、会員店舗が赤字を引き受けなければならない。
このために繁栄会を脱退したある食堂オーナーは、「フェスティバルの度に多ければ500万ウォン(約50万円)の会費を払ったが、高額な肉牛価格に加え、推進委員会が各種装備のレンタル費用や芸能人の出演料、舞台設置費用などを支払えば、食堂オーナーらは自分たちの人件費も手に入らない」と話した。
今年のフェスティバルの予算は、約2億2000万ウォン(約2200万円)と策定されている。蔚山市が3000万ウォン、蔚州郡が1億4000万ウォンを支援し、残りの5000万ウォンを会員店舗がそれぞれ負担する事となる。店舗主らは「300〜500万ウォンの会費を払わなければならないが、元金回収ですら難しい」と嘆いた。
翻訳:水野卓