1兆ドル・ノルウェー政府系ファンド、新興市場債券全て売却へ

1兆ドル・ノルウェー政府系ファンド、新興市場債券全て売却へ

-韓国など10ヶ国の新興市場債券…ポートフォリオから除外
-今後は環境関連事業に投資予定…売却は議会承認後徐々に進行
-直ちに急激な衝撃とはならないか

ノルウェーの政府系ファンドが、新興市場債券を全て売却する決定を下した。新興市場の成長鈍化を見越した対応で、株式の比重拡大に向けた動きでもある。ノルウェー政府系ファンドの運用額は1兆ドルの規模で、投資家の動きにも大きな影響を与えるだけに、この決定は新興市場にはマイナスにしか働かないと見られる。ただし、債券の売却は段階的かつ徐々に進めると見られ、専門家らは急激な衝撃にはならないと見ている。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ノルウェー財務部は5日、チリ、メキシコ、ロシア、韓国、タイなど主な新興市場の債券を、自国ファンドの固定収益財産ポートフォリオから除外する事にしたと発表した。主な新興市場の国債、企業債など全てを売却するという。

新興市場債券を運用するのに伴う費用問題が、新興市場債券全て売却の理由。信用等級が投資等級未満に下がるか、GDP(国内総生産)の変動などにより、投資比重を調整しなければならない際に、多額の関連費用が必要になるという。

売却対象となる債券の規模は、債券投資ポートフォリオ3130億ドル中、約8%の割合となる。ノルウェーはこれに代わり、1200億ノルウェー・クローナ(約1兆5500億円)を環境関連事業に投資し、ファンド資産の最大2%は非上場の再生可能エネルギー・インフラストラクチャーに投資するとしている。

ノルウェーのイェンセン財務大臣は、この様な決定は気候変動に対する政策対応ではなく、政府系ファンドの投資戦略の一環であるだけだと強調した。ノルウェー政府は先月、政府系ファンドが石油などの化石系燃料探査・生産企業に、これ以上投資出来ない様にする決定を下している。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、ノルウェー政府系ファンドの新興市場債券投資に対する決定を前に、新興市場投資家らがこれを鋭意注視していた事で、市場には相当な影響を及ぼすと予想した。ニューバーガー・バーマンのグローバル通貨部門責任者のウーゴ・ランチョーニ氏は、「ノルウェー政府系ファンドの規模は巨大」だと、「誰もがこのファンドの動きに注目している」と話している。

ただし、ランチョーニ氏をはじめとするアナリストらは、ノルウェー政府系ファンドがこれらの債券売却を決定したとしても、新興市場債券や通貨が直ちに動揺する事は無いだろうと見ている。

ノルウェー政府系ファンドが債券を売却するに先立ち、まずは議会でこの案の承認を受けなければならず、議会の承認後も売却は徐々に進められるからだ。一度に全て売却すれば価格が暴落し、ファンドも相当な損害を覚悟しなければならない。

この日、MSCI新興市場通貨指数は0.2%下落し、韓国ウォンも米ドル比で0.1%下落した。しかしロシア・ルーブルは0.2%、メキシコ・ペソは0.4%上昇し、ノルウェー政府系ファンドの決定は外国為替市場に直ちに影響を与えなかったと見られる。

一方、リーガル&ジェネラル投資運用のマルチアセットファンド責任者ジョン・ロー氏は、新興市場比重縮小の決定は、ノルウェーがエネルギー部門の比重を減らそうという狙いを土台にして進められていると見ている。同氏は、「新興市場は主要な成長エンジンであり、石油需要急増のエンジンでもある」と、「以前ほどではない原油価格により、サウジアラビア、ロシアなどと同様に、石油依存度を減らそうとするノルウェーが、原油価格の動きと密接な関係がある新興市場に投資する事はナンセンスだ」と話している。

翻訳︰水野卓

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