トランプ氏、追加報復関税先送り…「交渉結果3〜4週の内に発表 成功の予感」

トランプ氏、追加報復関税先送り…「交渉結果3〜4週の内に発表 成功の予感」
-新たな報復関税対象の目録のみ公開
-中国との対話の余地は引き続き残す
今月に入り、中国との貿易戦争を再開した米国が13日、新たに報復関税を賦課する3000億ドル(約32兆8800億円)規模の中国産輸入品の目録を公開した。ただし、米国政府は報復対象を発表しながらも、実際の施行は6月末以降に先送りし、ドナルド・トランプ大統領も実際の報復への可否については明らかにしなかった。
米国貿易代表部(USTR)はこの日、貿易法301条により、年単位で約3000億ドル規模の中国産輸入品に、最大25%の報復関税を課す案を検討中であり、業界の意見の集約を始めると発表した。貿易法301条は、米国政府が貿易相手国の不公正行為に対抗し、報復措置を保障する法律で、昨年より中国産輸入品に報復関税を課すにあたり適用されている。
USTRは、関税対象となる品目は現在の報復関税の対象でない総3805種となり、衣類や靴、携帯電話などの消費材が多く含まれる事を明らかにした。米国は昨年7月より、中国産輸入品に報復関税の賦課を開始しており、今月10日午後からは、2500億ドル規模の中国産輸入品に25%の報復関税を賦課している。トランプ大統領は今月、中国との貿易交渉が土壇場でこじれると、5日にツイッターを通じ「いまだに報復関税を課していない3250億ドル相当の中国産輸入品に関税を賦課する」と強硬な姿勢を見せた。
ただし米国政府は、中国との交渉の可能性をいまだ残している。トランプ大統領は13日の記者会見で、本当に追加の報復関税を施行する考えなのかとの質問に、「まだ決定を下してはいない」と答えた。また、「私達は3250億ドルの輸入品に25%の追加関税を課す権利があるが、これはとてつもない金額だ」と話した。
更に、6月28日から日本・大阪で開かれるG20首脳会議にも言及し、「私と習近平中国国家主席はG20で面会するだろう。この事は恐らくとても大きな収穫を得る会合になるだろう」とも話している。トランプ大統領は同日、ホワイトハウスでの晩餐会で、スティーブン・ムニューシン米財務長官が先月貿易交渉のため中国を訪問した事に触れ、「ムニューシン長官が中国から先程戻って来たが、私達はそれが成功だったのか、そうではなかったのかを3〜4週の内に知らせるだろう」と語った。また、「私はそれが成功であったとの予感がある」と付け加えた。
USTRは13日の発表で、関税対象の選定に関連する公聴会を6月17日に開催し、以後の一週間で最終的な免税申請を受け付けると公示した。結果として今回の追加報復関税は、米中首脳が面会するG20会議までは、実行するのが難しいとみられる。
USTRは10日の発表で、新規の関税対象をトランプ大統領の具体的な言葉(3250億ドル)ではなく、「約3000億ドル相当」と記載し、今回も同様の言葉を用いた。また、USTRは13日の発表で、米国経済に及ぼす打撃を考慮して、これまで25%の関税を掛けていた中国製品の中から、340億ドル相当を目録から外した事が分かった。
新規関税対象にも希土類や一部医薬品などは含まれない予定だ。
米国株式市場は13日、追加関税賦課及び中国による報復のニュースに反応し、約4ヶ月振りの最低水準に下がった。
全米小売業協会のマシュー・シェイ会長は声明を発表し、不公正貿易を正すための米国政府の努力を支持するとしながらも、「最近の関税引き上げは、米経済にとって、とても大きな賭けとなる」と憂慮している。
翻訳︰水野卓
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