習近平主席が訪朝決定…北朝鮮につく中露「北朝鮮の体制保障が必要」

習近平主席が訪朝決定…北朝鮮につく中露「北朝鮮の体制保障が必要」
‐北朝鮮を通じ朝鮮半島と国際社会への影響力拡大の意図
‐中国、米中貿易紛争で北朝鮮をレバレッジとして活用
‐ロシア、朝鮮半島問題へ介入…極東での影響力拡大へ
中国の習近平国家主席が今月20日に訪朝、北朝鮮の金正恩国務委員長と会談し、中朝友好をアピールするとみられる。この様に最近、北朝鮮友好国の中国やロシアが非核化の前に北朝鮮の体制を保障する事が必要だと主張し、北朝鮮を支持している事が注目を集めている。
中国の場合は最近激化している米中貿易紛争で北朝鮮との非核化カードを対米圧迫カードとして用いる事が可能となり、ロシアも北朝鮮問題に介入する事で極東地域での影響力を拡大して政治的役割を強化出来るという利点がある。
朝鮮労働党機関紙の労働新聞は18日、「金正恩同志の招請により、中国共産党総書記であり中華人民共和国主席の習近平同志が、6月20日から21日まで我が国を国家訪問する事となった」とのニュースを伝え、習主席の訪朝説を公式に認めた。
今月末に日本・大阪で開催されるG20(主要20ヶ国首脳会議)と、その後に韓国で開かれる米韓首脳会談を前にした状況で、中朝首脳による首脳会談のタイミングは絶妙だといえる。両首脳は体制保障問題や米朝非核化問題に対して踏み込んだ話をするとみられている。
また中国のみならず、ロシアも引き続き北朝鮮の体制保障が必要だとの立場を取っている。今年4月に金委員長と会談したロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「北朝鮮の安全保障と主権の保障が必要であり、米韓による保障メカニズムは不十分だ」と、北朝鮮側に立つ発言をしている。
プーチン大統領は当時、北朝鮮に対する体制保障のためにはロシアも参加した6か国協議も可能な代案になると語った。昨年、米韓朝中心で続けられた非核化議論に自分らも加わり、声を上げ役割を果たそうとの意図だとみられる。
今月初めの中露首脳会談でも、習主席とプーチン大統領は北朝鮮の体制保障について強調しつつ、「朝鮮半島問題の解決は非核化と北朝鮮の安全保障や発展を交換するとの目標を堅持しなければならず、非核化と平和体制樹立を並行して進めなければならない」と伝えた。
実際にプーチン大統領は今月7日、ロシアのサンクトペテルブルクで開かれたフォーラムで「北朝鮮が核を放棄する様に説得するならば、確実な安全保障を約束する事が必要で、北朝鮮はイラクやリビアの事例を見ているだけに、それらの国と同じ運命は辿らないだろう」と述べた。
習主席も、核を保有している中国とロシアが北朝鮮の体制の安全を保障する案を考慮する必要があると話している。
現在、米国は北朝鮮が実質的な非核化行動を取るまで対北制裁の緩和は無いとの立場を貫いている。つまり北朝鮮が求める体制保障より、確実な非核化の証拠が先に必要になるとの点で、中露の立場とは大きな違いがみられる。
今回、北朝鮮を訪問する習主席は、これまでの中露の立場と大きく変わる事の無い発言で北朝鮮を支持し、北朝鮮の核問題を米中貿易紛争で米国を圧迫するためのカードとして使用するとみられている。
翻訳︰水野卓