パウエル氏、7月に政策金利引き下げを示唆…米株が急騰

パウエル氏、7月に政策金利引き下げを示唆…米株が急騰
「変わったことは何もない」
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が政策金利引き下げへの強力な意志を表明した。先週発表された6月の雇用動向で米労働市場のしっかりとした動きが確認されたが、パウエル議長はここ数週間の間に経済見通しが改善されなかったとし、今月末に利下げに乗り出すことを示唆した。
政策金利引き下げ速度が減速されるとの懸念で下落傾向を見せたニューヨーク証券取引所は、パウエル議長の発言で急激に上昇し、史上最高値を更新した。パウエル議長はトランプ大統領の解任圧力と関連して、任期を必ず最後まで全うすると決意し、米下院はパウエル議長への支持を宣言した。
パウエル議長は10日(現地時間)、下院の金融サービス委員会に出席し、米国と中国の貿易摩擦による不確実性、世界経済の減速を指摘しつつ、30〜31日に予定通り0.25%ポイントの利下げを示唆した。また、最近の経済指標は改善を期待するほどの根拠を全く示していないとし、「重要なのは、世界成長と貿易をめぐる不確実性が続いており、これからも経済見通しを押さえ付けていることだ」と述べた。
6月の雇用動向が経済見通しを変更させたのかとの質問に、「ストレートに答えると、ノーだ」と述べつつ「先月の連邦公開市場委員会(FOMC)後、欧州と中国の経済成長指標が引き続き期待値を下回っている。特に企業の投資が著しく鈍化した」と指摘した。
先月に開かれたG20サミットでトランプ大統領と習近平中国国家主席が貿易交渉再開に合意したことについては、「建設的な歩み」としながらも「経済見通しを全体的に押さえ付けている不確実性を除去することはできなかった」と語った。
パウエル議長はトランプ大統領の辞任圧力にも屈することなく最後まで全うするとの強い意志も示した。金融サービス委員長のマキシン・ウォーターズ議員の「もしトランプ大統領があなたを解雇するとどうするのか」との質問に、「私の答えは“ノー”だ」と釘を刺した。この日のパウエル議長の証言に、共和党議員らはトランプ大統領とは異なり、パウエル議長を批判しなかった。
ニューヨーク証券取引所はパウエル議長の発言後、0.5%前後の上昇を記録した。市況を最もよく示しているS&P 500指数は取引中に史上初めて3000線を突破した。
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