トランプ大統領弾劾案が否決…野党の不和浮き彫りに

トランプ大統領弾劾案が否決…野党の不和浮き彫りに
17日、ドナルド・トランプ大統領の人種差別発言を理由に採決を求めた米民主党の大統領弾劾案が、下院で圧倒的な差をもって否決された。
ニューヨーク・タイムズなど現地メディアによると、米下院はこの日、民主党のアル・グリーン議員が提出した大統領弾劾案の採決を実施し、賛成95反対332で否決した。
特に民主党から95人のみが弾劾案上程を支持した事で、トランプ大統領の「人種差別発言」に対し団結すると思われた民主党に分裂の気配がみられる。結果として民主党議員137人が今回の弾劾案に反対票を投じた事となった。
グリーン議員が前日に発議した弾劾案には、トランプ大統領弾劾論の中心的根拠として上げられるロバート・モラー特別検察官の捜査報告書や権力乱用に関する内容には言及が無かったが、人種差別騒動を引き起こしたトランプ大統領の民主党新人議員4人に宛てたツイートに関する内容が含まれていた。
トランプ大統領は今月、民主党の有色人種の新人下院議員、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員、ラシーダ・タリーブ議員、アヤナ・プレスリー議員、イルハン・オマール議員に宛てて「もとの国に帰れ」とのツイートをし、難民出身のオマル議員の出身国ソマリアを「失敗した政府、失敗した国」と呼び、物議を醸していた。
グリーン議員は弾劾案で「トランプ大統領はこの様な発言で米国大統領という地位に軽蔑と愚弄、恥辱を与え汚名を着せた」と、「トランプ氏は米国国民の間に不和の種を撒き、トランプ氏が大統領職に相応しくないという点を立証した」と批判している。
しかし民主党下院トップのナンシー・ペロシ議長は慎重論を維持している。ペロシ議長は「我々は6つの委員会を通じ、権力乱用、司法妨害をはじめとする大統領が関係した可能性のある残りの事案を見守っている」と話した。下院レベルで既に十分な措置を取っているとの立場だ。
またトランプ大統領弾劾論者として上げられるダン・キルディー下院議員も「ある時点においてはノイズより成功により焦点を合わせなければならない」と、「今回の弾劾案はノイズにより近く感じられるというのが私の考え」だと話した。
ニューヨーク・タイムズはこれについて「(民主党から)137人が反対したものの、95人の構成員は弾劾案を支持するというシグナルを発した。分裂した政党の前に置かれた困難を示唆するドラマティックな不和」だと、「トランプ大統領をどの様に扱うかに対する民主党の亀裂を浮き彫りにした」との評価だ。
翻訳︰水野卓