「内需打撃」ブーメラン直撃の米中…妥結には懐疑的

「内需打撃」ブーメラン直撃の米中…妥結には懐疑的

米中が10月に高位級貿易交渉を再開する事で合意した。紆余曲折の末に交渉再開に合意したのは、貿易報復合戦による被害が自国経済にブーメランとなって返って来ているためだ。

中国は米国に対し屈服せず長期戦に持ち込もうと主張する強硬派の声に後押しされているが、最近になり経済沈滞の憂慮から交渉再開カードに期待している模様。実際に李克強首相主催で今月4日に北京で開かれた国務院常務委員会では、外部環境悪化や国内景気への下降圧力が増加していると憂慮する発言が相次いだ。

当面は今年の経済成長率の目標値を達成する事が最大のカギとなる。米中貿易戦争の中、中国経済のあちこちから警告音が聞こえる状況で、中国指導部が異例とも言える危機意識をそのまま外部に曝け出した事が目を引く。またこの事に対しては中国が更に金融緩和を行い、景気鈍化に対応するとの意志を表している。貿易戦争の衝撃の余波で中国の景気鈍化のスピードがコントロール出来る範囲を超えてしまうとの憂慮が高まっているためだ。

中国は今年の経済成長率を6.0〜6.5%と提示している。しかし米中貿易戦争の深刻化により、最悪の場合は6.0%の最低ラインすら下回ると憂慮する声もみられる。国務院が会議後の発表文で雇用安定などを掲げた「6つの安定」政策を強化し、経済運営が合理的な範囲で維持される様にすると強調した点も、経済目標の最低ラインとなる6.0%を死守するという意味だと考えられる。

米国の経済市場も良い環境ではない。9月1日から賦課される追加関税に加え、12月15日から別途賦課される関税は、米国農家と消費者らの不満を呼ぶとみられる。トランプ大統領が米中貿易戦争の正統性を強調してはいるものの、共和党の支持層である農家の売上下落と消費者物価の上昇圧力は、来年に大統領選挙を控えるトランプ大統領にとっては悪材料だ。

■最悪に備え、自給策に奔走

10月には貿易交渉が再開されるが、ビッグディールの可能性は低いとみられる。応急処置にとどまるレベルで交渉が終わったり、最悪のケースとなる決裂に至った際の備えとして、両国ともに自国経済萎縮に備えた非常対応のシナリオを用意しており、万が一の状況にも備えている模様だ。中国は今月、金利と預金準備率を引き下げて市中の流動性供給を拡大する可能性が提起されている。

中国国務院は前日“適時に”預金準備率を引き下げる一方で、市中の実質金利引き下げを誘導するという政策方向を明らかにしている。中国が中期貸出制度(MLF)貸出金利を引き下げて市中金利の引き下げを誘導する方法が有力視されている。

預金準備率引き下げカードも可能性が高い。昨年、4度も預金準備率を引き下げた中国は、今年1月にも2度に渡って預金準備率を1%ポイント更に引き下げている。政策金利を直接下げる代わりに預金準備率の調節を通じて流動性供給量を頻繁に調節して来たとの点からも、今後更に活用される可能性が高い。

トランプ大統領もFRBに宛て、度々金利引き下げ圧力を掛け、景気沈滞に備える構えだ。米中貿易戦争が自国内の経済沈滞に及ぼす影響を憂慮し、金利引き下げを通じて補完しようという考えだ。実際に米国製造業の活動が3年振りに下落に転じた事で、米国も貿易戦争長期化による憂慮の声が高まりつつある。

翻訳:水野卓

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