「トルコ発の通貨危機」 世界的な緊縮財政…危機の前兆か

「トルコ発の通貨危機」 世界的な緊縮財政…危機の前兆か

市場では今回のトルコ通貨危機が世界的な緊縮財政時代に現れる「危機の前兆」ではないかと警戒している。

英紙ファイナンシャルニュースは13日、「投資家やアナリストらは、今回のトルコ危機を、この10年間の金融緩和策から後退する時期に起こり得る事の前兆とみている」と伝えた。

2007年の世界金融危機以降の10年間、世界各国の中央銀行は超低金利と債権買い上げなどの金融緩和策を通じて、世界的に流動性を広く拡大させた。

市場にマネーが大量に流れ込む中で、低金利で資金を調達しようとする企業が増え、各国政府も金融危機克服のために財政出動を繰り返し、世界的な負債は雪だるま式に膨れ上がった。

国際金融センター(IIF)によると、危機に弱いとされる新興国の負債は、この10年間で40兆ドルに上っている。

このところ米国連邦準備制度や欧州中央銀行など、主要国中央銀行が金融政策の正常化に転換。そのため、ドルに対する接近が難しくなり、市場にも不安が広がっている。

アルゼンチンの通貨ペソはこの日、6取引日連続で下落した。ペソの対ドルレートは取引中一時30.50ペソまで急落し、史上最安値を記録した。またブラジル・レアルは0.5%、メキシコ・ペソも1.1%下落した。

ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)の新興国通貨も全て下落基調だ。南アフリカランドは前日、一時10%超の下落を経て最終的に2.3%の下落。ロシア・ルーブルも0.1%下落した。

ロンドンに拠点を置くヘッジファンド「アルジェブリス・インベストメンツ」のアルベルト・ガロ氏は「麻酔薬を投入したかのようなこの10年間の金融政策以降、懐疑論者が増えている」と話した。

スイスクオート銀行の外国為替アナリスト、ピーター・ローゼンストレイック氏は「トレイダーがドル負債に陥った国家を選別している」と、「特にチリやメキシコ、インドネシア、ロシア、マレーシアなどの場合、国内総生産(GDP)対比での非銀行券ドル建て債権の比重が高い」と指摘している。

ファイナンシャルニュースは「投資家らはドル建て債権を増やした債務者をより厳しい視線で見るだろう」とし、「各国政府の政策失敗に対しても寛容ではいられないだろう」と予想している。更に「この様な雰囲気の中で最も重要な事は、政府に対する”信頼”だ」と強調した。

アルゼンチンの場合、前四半期にペソの価値が急落すると、基準金利を引き上げ、国際通貨基金(IMF)に対して救援を要請し、市場の不安を沈静化させた。以後は安定水準を維持していたペソが、トルコの金融市場不安の余波で13日に急落すると、アルゼンチン中央銀行は再び基準金利を5%引き上げ45%とした。

ブルーベイ・アセット・マネジメントのティモシー・アッシュ氏は「全ては信頼の問題だ」とし、「投資家らは政府機関などに対する信頼度がゼロ」と指摘した。

翻訳︰水野卓
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