民間宇宙旅行時代の幕開け…マスク氏「火星移住」への第一歩

-米スペースXが有人宇宙船発射
-12分後に宇宙空間進入成功
-19時間後に国際宇宙ステーションへドッキング
-2人の宇宙飛行士が2ヶ月以上滞在予定
-スペースX、定期往復ロケット発射
-他の宇宙企業も試験急ぐ

民間宇宙旅行時代の幕が上がった。米国の宇宙企業スペースXが現地時間5月30日に初の有人宇宙船発射に成功した事で、世界各国の宇宙飛行士が民間企業の「宇宙タクシー」を利用する時代が目の前に広がっている。スペースXの成功により、ボーイングなど他のライバル企業も有人宇宙船試験を急ぐとみられる。

■半世紀振りの劇的な進展

ウォール・ストリート・ジャーナルなど現地メディアによると、米テスラのイーロン・マスクCEOが2002年に設立したスペースXが、フロリダ州ケープ・カナベラルにあるケネディ宇宙センターから、有人宇宙船「クルードラゴン」と宇宙飛行士2人を乗せた「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功した。

ロケットは51年前にアポロ11号が発射された39A発射台から日本時間5月31日午前4時22分に飛び立ち、12分後には宇宙軌道に到達した。再使用ロケットのファルコン9は宇宙船を軌道に乗せた後に無事に地球に戻った。米NASA所属の宇宙飛行士ダグラス・ハーレー飛行士とロバート・ベンケン飛行士は発射の19時間後にISS(国際宇宙ステーション)にドッキングした。2人の宇宙飛行士はISSで少なくとも2ヶ月間滞在した後、再びクルードラゴンに乗って帰還、落下傘を利用して大西洋に着水する予定だ。

クルードラゴンは次世代宇宙船と呼ばれるだけに自動運行やタッチスクリーンが採用されている。スペースXは当初、完全自動の宇宙船を進めていたが、人を乗せなければならないとのNASA側の主張もあって開発方針を変更していた。

この日の発射現場を訪れたドナルド・トランプ米大統領は「これは始まりに過ぎない」と、「今日我々は米国の土地であるこの場所で、世界最高の米国ロケットにより米国人飛行士を再び誇らしげに送り出した」と話した。また「今後も米国が宇宙を支配するだろう」と、「火星着陸でも最初になるだろう」とも話している。更に今回の発射が「過去50年の中で最初の巨大な宇宙メッセージ」だと、「商業用宇宙産業が未来だ」と続けた。マスクCEOは記者会見で「今回の発射は人間を火星に送るための第一歩」だと、「公共の支援が必要だ」と話した。

■宇宙タクシー時代も目前に

現地メディアは各国政府が今後、宇宙船を直接作って運送や探査に出ていた過去と決別し、民間企業の宇宙船を利用する様になるとみている。NASAの場合、当面は火星探査よりも費用節減が急がれる。米国政府はグローバル金融危機以降、大々的な予算削減に動いており、2011年にはスペースシャトル計画を終了している。

NASAはこの間、ロシアのロケットと宇宙船を利用しており、宇宙飛行士1人あたり7000万ドル(約75億3700万円)を支払っていた。米国は過去9年間、一度も有人宇宙船を発射していない。NASAは有人宇宙船開発を外部に任せる事にし、2014年にスペースXやボーイングを共同事業者に指定した。

スペースXはクルードラゴンが帰還次第、飛行資料を分析し、今後は最大4人の宇宙飛行士を乗せ、定期的にISSを往復するロケットを飛ばす計画だ。ボーイングは昨年12月、有人宇宙船「CST-100 スターライナー」を人を乗せずに発射したものの、ISSへのドッキングには失敗している。ウォール・ストリート・ジャーナルは「ボーイングも数ヶ月以内に追加試験を行なうだろう」と、「2021年内には両社が定期的な宇宙路線を運行出来る」とみている。

NASAのジム・ブライデンスタイン局長は「我々は2社と協力関係を維持している」と話している。NASAは2社に対し少なくとも70億ドル(約7536億円)を投資しているが、民間宇宙タクシーを利用する場合には200億ドル(約2兆1530億円)を節約出来るとみている。NASAは2社以外にも、米国の宇宙企業オービタル・サイエンシズと貨物運送契約を結んでいる。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが率いる宇宙企業ブルー・オリジンとも合同の月探査計画を推進中だ。

翻訳:水野卓
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