世界の航空業界、今年9兆円の赤字…回復は2022年になるか

新型コロナウイルス感染拡大により大きな打撃を受けている航空業界は、早くても2022年にならなければ黒字転換出来ないとの予測が出された。航空業界は今年だけで100兆ウォン(約9兆円)以上の純損失を計上するとみられる。

IATA(国際航空運送協会)は現地時間9日に発表した業界展望報告書でこの様に伝え、売上減少のスピードが費用節減のスピードを上回っている事で、今年はもちろん来年まで大幅な赤字が避けられないとの分析を発表した。また航空会社ごとに危機を乗り越える体質改善が必要だと対応を促した。

■乗客1人あたり4000円の赤字

IATAは今年1年の世界の航空業界の売上が前年比50%ダウンの4190億ドル(約45兆円)となり、利益率はマイナス21%、843億ドル(約9兆円)の純損失が発生すると予測。IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアックCEOはこの日の声明で「今年は航空業界にとって歴史上最悪の1年になるだろう」と、「毎日2億3000万ドル(約247億円)の赤字が発生する」と話した。

赤字の原因は売上が費用より速く減少しているため。IATAは今年の航空機利用客が前年より54.7%減少した22億5000万人と、2006年の水準に留まるとみている。ジュニアックCEOはこの数値を指摘し「航空会社の立場で1人を乗せる度に37.54ドル(約4000円)の損失が発生する」と解説した。

一方で今年の航空会社の総支出は5170億ドル(約55兆6000億円)と、前年から34.9%の減少に留まるとの予測。平均燃料価格は最近の原油価格の下落基調もあり、昨年の1バレルあたり77ドル(約8280円)から36.8ドル(約4000円)まで低下したものの、固定資産が多く、財政面に大きな影響を与えていない。IATAは1万4000機以上に達する遊休飛行機の問題もあり、燃料費を除いた関連費用は逆に14.1%上昇すると予測している。

その様な中で状況が良いのは貨物分野だ。IATAは旅客便が止まっているため、旅客機の貨物室に載せていた貨物が貨物便市場に回って来ているとの見方。また今年の貨物輸送売上は1108億ドル(約11兆9000億円)で、前年(1024億ドル・約11億円)より増加するとみている。全体売上での貨物の占める比重も26%と、2019年(12%)より増加する見込みだ。

■2022年まで待つのみ

ジュニアックCEOは「航空会社の財政は2021年も良くないだろう」と、「乗客1人あたり5ドル(約537円)の損失が発生する」と予測している。同CEOは航空会社がソーシャルディスタンスの緩和と燃料価格の低下、強力な貨物需要、価格競争による旅行心理回復などに後押しされれば「2022年には利益が生じ、借金を返済出来るだろう」と主張した。

問題は業界が2年間持ち堪えられるかだ。IATAは2021年も世界の航空業界の純損失が158億ドル(約1兆7000億円)になると予測している。IATAは航空業界の負債が2019年末基準で年間売上の半分程となる4300億ドル(約46兆2400億円)だと指摘し、危険な水準ではないと説明した。しかし業界の負債合計は各国政府が相次いで救済資金を供給している事で、1200億〜5500億ドル(約12兆9000億〜59兆1500億円)程度増加するとみられる。

航空会社は体質改善が避けられない。IATAは今年3200万人の航空業界従事者が職を失う可能性があると発表した。また今年の年末基準で主要路線の数が前年同期比で20%近く減少するとみている。

一方、航空業界と表裏一体の航空機製造企業にも試練が待ち受けている。ボーイングは9日の発表で「今年5月に新たに引き渡した航空機が貨物機4機に留まった」と、「14件以上の注文がキャンセルされた」と発表した。ボーイングの受注キャンセル件数は今年に入り既に600件を超えている。この発表当日、ボーイングの株価は6%の暴落となった。ヨーロッパの製造企業エアバスは月初の発表で「5月に24機の航空機をキャンセル無く引き渡した」と発表したものの、新たな契約は結べなかった事が分かっている。

翻訳:水野卓
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