国際原油価格、最大マイナス20%の可能性も…過剰供給解消されず

最近2ヵ月の間に2倍近く上昇した国際原油価格は、直ぐに20%に達する程の大規模な調整が起こるという予測が発表された。一部専門家らは、産油国の減産とコロナ以降の経済再稼働を考慮しても、原油在庫は依然として莫大な水準だと指摘している。
米国の経済専門チャンネルCNBCは現地時間9日、ゴールドマン・サックスの関連報告書を引用し「調整は既に始まったのかもしれない」と報じた。今年4月20日に1バレルあたりマイナス37.63ドル(約4000円)まで下がったWTI先物価格は9日、米ニューヨーク商業取引所で1バレルあたり38.94ドル(約4200円)で取引を終えた。同日、北海産ブレント油先物も1バレルあたり41.18ドル(約4400円)で取引を終えている。
CNNはこの日、「原油価格が上昇傾向にある」と、「新型コロナウイルス感染拡大により止まっていた世界経済が回復傾向を見せている事で、原油価格上昇への期待が高まっている」と分析した。これに先立ち、石油輸出国機構と主要産油国10ヶ国によるOPEC+は6日のオンライン会議で、原油を日量970万バレル減産すると定めた取り決めを、期限となる今月30日から更に1ヶ月延長する事で合意している。
ゴールドマン・サックスの商品調査チームを率いるアナリストのジェフリー・カリー氏は9日の報告書で、まだ価格の回復を期待するには早いとの判断を伝えた。同氏は「原油価格が1バレルあたり40ドル(約4300円)を超えれば、供給拡大に対する誘因要素になる」としながらも、「しかしながら我々は価格下落リスクが相当に増加したとみている」と解説した。また「今月8日の緩やかな売り傾向の後、15〜20%規模の調整が既に始まったのかもしれない」と主張している。更に「世界的に原油在庫が10億バレル近く積み上がっており、新型コロナウイルス感染拡大により旅行及び経済活動が沈滞している」と指摘し、「我々はこれらの理由により、最近の原油価格上昇にも関わらず買い推奨を出せないでいる」と伝えた。
同日、米信用評価企業ムーディーズのシニアアナリスト、アレクサンダー・パージェッシー氏も投資家への報告書を通じて警告メッセージを伝えた。同氏はブレント油の価格が中期的には1バレルあたり45〜65ドル(約4800〜7000円)となるものの、2021年は平均で35〜45ドル(約3700〜4800円)水準に留まるとみている。また「今年は全ての先進国経済で景気沈滞が起こるだろう。旅行の規模も同様に劇的に減少しているため、原油需要は大いに減少すると見られる」と予測している。
その一方、肯定的な意見もある。日本の三菱UFJ金融グループ(MUFG)は、中国経済の回復と原油輸入の増加を挙げながら、ブレント油の価格が今年第3四半期は35ドル(約3700円)のラインで止まるだろうが、以降は上昇すると見込んでいる。ノルウェーの市場調査会社ライスタッド・エナジーは9日の報告書で「原油価格は、米経済が新型コロナウイルス感染症にどの様に反応するかがより明確になる時まで、今月中は1バレルあたり40ドル(約4300円)付近で上下するだろう」と伝えた。
翻訳:水野卓
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