米国経済-32.9%↓…大恐慌・金融危機の時にも無かった数字

-第2四半期成長率、前四半期比-32.9%
-先週の新規失業者数も再び増加
-所得は失業手当の影響もあり増加
米国経済は新型コロナウイルス感染症の影響で、今年第2四半期に過去最悪の成長率-32.9%を記録した。
また新規失業手当申請者数も2週連続の増加となり、米南西部州を中心とした新型コロナウイルスの感染再拡大が、下半期の経済指標に悪影響を及ぼす可能性を示唆している。
ウォール・ストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズなどの海外メディアによると現地時間7月30日、この日、米商務省は米国の第2四半期のGDP(国内総生産)が年率基準で32.9%減少したと発表した。関連統計の集計が始まった1947年以降、約70年の間で最悪の数字だ。
しかし市場が見込んでいた34.1%より減少幅は少なかった。
経済専門チャンネルCNBCは、大恐慌や2008年の世界金融危機を含む過去20年間に発生した経済不況の時でも、この様な短期間の内に成長率が急減する事は無かったと報じた。なお前四半期対比では9.5%の下落となった。
更に米労働省がこの日発表した週間新規失業統計は、この様な悪い流れが下半期まで続く可能性を示唆している。
米労働省によると、先週(20〜25日)職を失い、失業手当を新たに申請した新規失業者数は、1週間前に比べ1万2000人増加した143万人となった。
新規失業手当申請者数は3月後半にピークに達して以降、4ヶ月近く減少傾向を見せていたが、先月末の新型コロナウイルスの感染再拡大以後は増加に転じ、現在2週連続の増加を記録している。
また2週連続で失業手当を申請した者の数は、13〜18日の1週間で86万7000人増加した1700万人となり、5月中旬以降の減少傾向にもピリオドが打たれた。
S&Pの米国経済担当チーフ・エコノミスト、ベス・アン・ ボビーノ氏は「残念ながら我々はより長く遅い底からの脱出を予想している」と、「新型コロナが経済状況を左右する」と悲観的な見解だ。
新型コロナウイルスの感染再拡大にも揺らがなかった株式市場も、急激な景気沈滞が現実化し、失業の増加転換が確認されると下落傾向を見せ始めた。
この様なGDPの下落にも関わらず、第2四半期の米国国民の所得は増加している事が分かった。米国政府の景気刺激策などもあり、この期間、前四半期対比で7.3%増加した。
米国労働団体AFL-CIOのチーフ・エコノミスト、ウィリアム・スプリッグス氏は、景気刺激策として支給された現金1兆7890億ドル(約186兆5000億円)と、週間失業手当に追加された600ドル(約6万2500円)により、新型コロナウイルス感染症の発生と関係無く、賃金として受け取られるべき7950億ドル(約82兆9000億円)の損失分を埋めたと話している。
しかし今週を最後に週間失業手当の600ドル追加支給が中断される可能性もあり、所得減少とともにGDPまで引き下げる可能性があると、ヤフーファイナンスが報じている。
AFL-CIOのスプリッグス氏は、第2四半期の米国国民の貯蓄率が前四半期の9.5%から25.7%に増加した事と、可処分所得が第1四半期の3.9%から42.1%に急増した事は、消費が慎重になっている事を現していると解説。また米国の消費者が新型コロナウイルスの問題が解消されて安心出来る様になるまで、消費不振問題は解消されないだろうと話した。
翻訳:水野卓