Advertisement

NYタイムズ「行くべき52カ所」に選ばれた山口市 期待を裏切る観光効果と今後の課題

今年1月、米紙ニューヨーク・タイムズが「2024年に行くべき52カ所」に山口市を選出してから半年以上が経過した。前年度に選ばれた盛岡市は、新型コロナウイルス禍の規制緩和も相まって、多くの国内外からの観光客で賑わい、その勢いは未だに続いている。しかし、「西の京」として知られる山口市はどうだろうか。現地で変化を探ってみた。

期待とは裏腹に乏しい観光効果

8月下旬、山口市は猛暑に包まれていた。ニューヨーク・タイムズに紹介された湯田温泉の玄関口であるJR湯田温泉駅に降り立ったが、最高気温37度を超える暑さもあり、観光客の姿はほとんど見られなかった。駅前の食堂で昼食を取りつつ、店主に地元の状況を尋ねると、「なんちゃーない(何もない)」と渋い表情で返された。観光客の増加を期待していたものの、思ったほどの効果は見られないという。

地元の期待と現実のギャップ

山口市内で最も有名な観光スポットである国宝「瑠璃光寺五重塔」の最寄り駅、JR山口駅には「2024年に行くべき52カ所」と書かれたポスターが掲示され、地元の期待がうかがえる。しかし、実際に現場で働く人々の実感は乏しい。タクシー運転手の一人は、「ほとんど影響はありませんよ。欧米系の観光客が少し増えたぐらいかな…」と述べ、観光効果の少なさを指摘する。

瑠璃光寺五重塔へは駅からタクシーで10分。緑豊かな市街地を抜けて到着するが、現在は70年ぶりの大規模改修工事中で、工期は令和8年秋まで続く予定だ。訪れる観光客もまばらで、近くのカフェの女性スタッフも「米紙掲載の効果は思ったよりもないですが、頑張ります」と苦笑いを浮かべる。

数字で裏付けられる観光効果の乏しさ

現地で働く多くの人々が経済効果を感じていない様子だが、これは数字でも裏付けられている。山口市の湯田温泉旅館協同組合によると、今年1~7月の国内外の観光客数(修学旅行など除く)は前年比3.2%減の19万1295人と微減した。

インバウンドに限ると前年比43.1%増の8561人に伸びた。これまで主に台湾と韓国からの観光客が中心だったが、米紙掲載の影響もあり、欧米からの観光客も33.8%増の922人となっている。しかし、盛岡市のような目覚ましい効果は見られない。

今後の課題と展望

昨年「行くべき52カ所」に選ばれた盛岡市は、新型コロナ規制緩和の恩恵もあり、令和5年度の外国人観光客数が平成30年度に比べて6万人以上増加し、経済波及効果も18億円以上増えたという調査結果が出ている。それに比べると、山口市の観光効果はやや物足りない印象が否めない。

今後、山口市が観光地としての魅力をどのように発信し、観光効果を高めていくのかが重要な課題である。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です