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「産休育休を申請したら雇い止め?」 非正規公務員の出産・育休取得の壁

広島県内の自治体で働く非正規公務員の女性が、産休・育休を申請した直後に契約更新なしを通告された。女性は会計年度任用職員として6年間勤務していたが、出産予定を伝えた約1か月後に「契約を更新しない」と告げられた。自治体側は「勤務態度が理由」と説明したが、当事者は納得できないまま雇い止めとなった。

総務省のマニュアルでは、育休を理由に契約を更新しないことを認めていない。しかし、1年ごとの契約更新制度のもとでは、産休・育休を申し出た非正規職員が雇い止めに遭うケースが後を絶たない。労働問題に詳しい専門家は「会計年度任用職員制度はマタハラ(マタニティ・ハラスメント)を受けやすい構造になっている」と指摘する。

全国の非正規公務員や研究者らが参加する団体「voices(ボイセズ)」には、「妊娠を伝えた途端に契約更新を拒否された」という相談が多数寄せられている。自治体側は「退職後の生活を考える期間を確保するため」と説明するが、実際には「業務削減」や「勤務態度の問題」など、曖昧な理由をつけて契約を打ち切るケースが多い。

1月15日には、参議院議員会館で非正規公務員の課題について意見交換会が開かれ、人事院、厚生労働省、総務省の職員や国会議員、ボイセズのメンバーら約20人が参加した。そこで広島の女性の手記が代読され、「正規職員は当たり前に産休育休を取れるのに、非正規職員は『契約更新なし』の一言で生活保障を失うのは理不尽だ」との声が紹介された。

日本労働弁護団も昨年秋、会計年度任用職員の身分保障と処遇改善を求める提言をまとめた。井上幸夫会長は「非正規公務員は行政サービスの重要な役割を担っているにもかかわらず、権利保障が極めて弱い」と制度改革の必要性を訴えている。

政府や自治体、政治家が掲げる「女性が安心して子育てできる社会」というスローガン。しかし、出産を控えた広島の女性は「産後休暇も満足に取れない私には、その言葉がむなしく響く」と語る。大きくなるお腹を抱え、不安な日々を過ごしている。

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