ドル高の流れは来年から変わる?

ドル高の流れは来年から変わる?
今年に入って強気相場が続いた米ドルが立ちすくむ様子を見せている。米国の利上げ見通しが既にドルの価格に反映されたうえ、米中貿易戦争への楽観論、欧州と日本の経済回復などがドル上昇を抑えていると専門家らは分析している。
ウォール・ストリート・ジャーナルは先月30日、「ドルが魅力を失った」とし「今年、新興国から商品市場に至るまで全方位に圧迫をかけていたドル上昇が、年末に向かう現在の時期から反転の動きを見せている」と伝えた。実際に主要6通貨に対するドルの価値を示すICE指数は現在、8月の高値より1.7%下落した水準で動いている。
●来年には反転?
今年初めから浮上した米国と中国の貿易紛争の影響で、投資家らが安全資産に集中し、米ドル買いが続いた。しかし、米中の貿易葛藤は最終的に解決されるという楽観論が広がり、米株式と新興国の通貨・株式市場に資金が流れている。
TD証券(トロント)の北米外為戦略部分責任者マーク・マコーミック氏は、「危険な資産がより魅力的に見えるため、投資家らが危険な資産に足を踏み入れようとしている」と述べた。
欧州と日本が経済成長のシグナルを見せていることもドル高を抑制している。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は先月、ユーロ圏の経済成長見通しを楽観し、2兆5000億ユーロ規模の資産買い入れプログラムを今年中に終了する計画を再確認した。日本経済も今年2四半期の国内総生産(GDP)成長率が0.7%を記録し、前期のマイナス成長から脱し再び回復局面に入った。
ドルの価値を引き上げる主要要因である米連邦準備制度の政策金利引き上げについては「すでにドルの価値に反映されている」という分析が出ている。
ウエルズファーゴ・インベストメント・インスティチュートのアナリストらは、「マクロ経済的な側面や通貨政策の差別化に基づいたドル高は、その寿命がもうすぐで終わる」とし、「今年の残りの期間中にはユーロ比ドルの価値が横ばいで推移し、来年には下落する」と予想した。
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