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石破首相、万博成功へ積極発信 維新に秋波、政権運営にらみ

大阪・関西万博が開幕する中、石破茂首相は2週連続で現地入りし、万博の成功に向けて積極的な広報活動を展開している。統合型リゾート(IR)とともに万博を旗印としてきた日本維新の会(以下、維新)との連携を視野に入れた政権運営上の布石との見方も出ている。

石破首相は12日、大阪市で開催された開会式に出席し、「世界中から万博にお越しになった皆さまに、日本各地を訪れ、新たな日本の魅力を発見していただきたい」と述べ、訪日外国人の増加に期待を寄せた。3月には東京ガールズコレクションに公式キャラクター「ミャクミャク」とともに登場し、全閣僚にミャクミャクのピンバッジ着用を求めるなど、万博PRに力を入れている。

万博は大阪府・市、経済界、政府が一体となって進める国家プロジェクトであり、維新が主導してきた。IRと同じく会場は大阪湾の人工島「夢洲」に設置されており、両事業の成否は維新の政治的命運に直結する。

しかし、維新内からも懸念の声が上がっている。前原誠司共同代表は党の支持率停滞の一因として「万博がそれほど盛り上がっていない」ことを挙げた。実際、世論調査では「行きたい」と答えたのは2~3割にとどまり、目標とする前売り券1,400万枚の販売達成は難しいとの見方が強まっている。

少数与党である石破政権は、維新が求める高校無償化を受け入れて2025年度予算を成立させるなど、綱渡りの国会運営が続いている。今後、米国の関税対策などで補正予算の編成が必要となれば、野党との連携は不可欠である。国会の会期末には内閣不信任案が提出される可能性もあり、維新との関係は政権維持の鍵となる。

首相が前売り券販売の不振を受けて当日券の導入を決めたのも、維新を率いる吉村洋文大阪府知事の要望に応じたものである。吉村氏は開会式で「誘致から10年間準備を重ね、個性豊かなパビリオンと素晴らしい会場が完成した」と胸を張った。

会場建設費は国、府・市、経済界の3者で負担しているが、運営費が赤字となった場合の対応は未定である。公費での穴埋めとなれば国民の反発は必至であり、吉村氏をはじめとする維新と石破政権は「運命共同体」とも言える。

自民党のある幹部は「うまくいけば政権のアピール材料になるが、失敗すれば政権批判の材料になる」と懸念を口にした。

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