東京電力は4月23日午前10時15分、福島第一原子力発電所2号機で行っていた燃料デブリ（溶融核燃料の残骸）の試験的取り出し作業が完了したと発表した。
今回の試験的取り出しは、2011年の事故以降2回目となるもので、4月15日に開始され、9日間で終了した。17日にはロボットがデブリをつかみ上げることに成功し、回収されたデブリは放射線に耐える専用容器に格納された。
東京電力によれば、今回は前回より最大2メートル奥の格納容器中心部付近から採取された。採取されたデブリは日本原子力研究開発機構（JAEA）の大洗研究所に搬送され、分析が行われる予定。JAEAは1979年の米スリーマイル島事故時にも燃料デブリの研究を行った実績がある。
デブリは黄色がかった小さな塊（7ミリ以下）で構成されており、一部は容器への落下時に破損したとみられる。東京電力はすべてを「燃料デブリ」とみなし、全量を分析対象とする方針。今回の採取場所での放射線量は20センチの距離で毎時0.1ミリシーベルトと、前回よりも低かった。
初回の取り出しは2024年11月に実施され、回収量はわずか0.7グラムに過ぎなかった。福島第一原発には推定880トンの燃料デブリが残存しており、今回の回収量も極めてわずかである。
デブリは強い放射線を発しており、人が直接近づくことはできない。また、デブリに接触した雨水や地下水は「汚染水」となり、処理水タンクが敷地内に増加し続けている。燃料デブリの取り出しは廃炉工程の中で最も難しい作業とされている。
2号機は1・3号機に比べて損傷が少ないとされ、先行して試験的取り出しが行われたが、3号機での本格的な取り出しは未定、1号機では調査が継続中である。
今回も「釣り竿型」のロボットが使用されたが、78億円をかけて開発された大型ロボットアームではケーブルの経年劣化による断線や、カメラの不具合が確認された。ロボットの再調整も必要となっており、今後の工程への影響も懸念される。
それでも東京電力は「2025年度後半にロボットアームを用いたデブリの取り出しを開始する計画は変わっていない」としている。
国と東京電力は2051年までの廃炉完了を目指しているが、何をもって「廃炉完了」とするのか、その具体的な定義は依然として明確にされていない。
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