政府が外交・安全保障分野のインテリジェンス機能を一元的に統括する専任の担当相を来年にも創設する方向で調整を進めていることが分かった。現在は木原稔官房長官が情報分野の強化を兼務しているが、官房長官は政策全般の調整が主務であるため、情報活動に特化した閣僚ポストを設ける必要があると判断した。複数の政府・与党関係者が明らかにした。
高市早苗内閣が掲げる「情報活動の機能強化」は行政改革の重点政策と位置づけられている。政府には内閣情報調査室、警察庁公安部門、公安調査庁、外務省、防衛省など複数の情報組織が存在するが、各機関が情報を抱え込む縦割りの弊害が長年指摘されてきた。担当相を新設することで、情報組織に対する監督権限を明確化し、組織間連携を促すとともに、問題発生時の政治的責任の所在をはっきりさせる狙いがある。
政府は併せて、情報機能の司令塔となる国家情報局を来年7月にも設置する方針だ。局長には各情報組織が保有する情報へのアクセス権を法令で保障する案が有力視されている。米国の国家情報長官に近い役割を担う形となる。
自民党と日本維新の会がまとめた連立合意には、国家情報局の創設、スパイ防止法の制定、対外情報庁(仮称)の創設などが盛り込まれている。自民党のインテリジェンス戦略本部は、①司令塔機能の強化、②対外情報収集能力の抜本強化、③外国勢力による干渉を防ぐ体制整備、の三本柱で議論を進めており、来年1月にも提言を政府に提出する予定だ。
政府は専任担当相の設置により、省庁横断の情報共有体制を強化し、急速に変化する国際安全保障環境への対応力を高めたい考えだ。













Leave a Reply