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「40日間の地獄」終焉もウイルス拡散の影…ハンタウイルス、帰国者から追加発症相次ぐ

Large white cruise ship sailing on calm ocean with sunset in background

大西洋を航行中にハンタウイルスの集団感染に見舞われたクルーズ船「MVホンディウス号」から乗客の下船が完了したものの、帰国した乗客から新たな陽性者が相次いで確認され、世界各国が緊迫した防衛態勢に入っている。各国政府は帰国者に対し、自宅隔離や法的強制力を伴う施設隔離などの強力な防疫措置を講じ、ウイルスの市中流入阻止に全力を挙げている。

AFP通信などによると、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島沖に停泊していたMVホンディウス号から11日(現地時間)、最後の乗客6人が下船した。先月1日にアルゼンチンを出港して以来、40日間に及ぶ「洋上の孤立」を経て、船は乗組員26人を乗せオランダ・ロッテルダムへ向けて出港した。

しかし、下船は事態の収束を意味しなかった。フランスのリスト保健相は、前日に帰国したフランス人乗客1名が機内で発症し、夜間に容体が悪化したと発表。米国でもネブラスカ州へ移動中の乗客1名が陽性判定を受けたほか、スペイン保健省も隔離中の自国民1名に陽性反応が出たと明かした。いずれも下船時の検査をすり抜けた「時間差」での発症であり、検疫の難しさが浮き彫りとなっている。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、ハンタウイルスの潜伏期間が6〜8週間と極めて長いことに言及し、「今後さらに多くの症例が出る可能性がある」と警告した。この長い潜伏期間を考慮し、各国はウイルスの市中流入を阻止すべく、前例のない厳格な措置を次々と打ち出している。

イギリスでは、テネリフェ島からマンチェスター空港に到着したチャーター機の乗客22名が、着陸直後にマージーサイド近郊の指定病院へと移送された。特筆すべきは、この一行の中に日本政府の要請により英国側が受け入れを快諾した日本人1名が含まれている点だ。当局は72時間の評価期間を設けた後、各人を大衆交通機関を使わない手法で帰宅させ、計45日間という一季にも迫る異例の長期自宅隔離を強いる方針だ。

フランスでも、水際での封じ込めに一切の妥協を排す構えを見せている。陽性判定者を除く帰国者4名を直ちにパリ市内の病院に隔離した。潜伏期間を最大限に考慮した6週間(42日間)の隔離を義務付け、これに違反した場合には最大1,500ユーロ(約26万円)の過料を科すという法的強制力を伴った強硬策を講じている。

一方、アメリカとスペインの両政府は、より保安レベルの高い施設を動員した。帰国した乗客らを軍の病院や国立検疫施設へと収容し、外部との接触を完全に遮断。厳重な監視下に置かれた施設内では、ウイルスのわずかな痕跡をも逃さないための精密検査が昼夜を問わず継続されている。

こうした各国の「厳戒モード」は、潜伏期間が長く全容が掴みきれないハンタウイルスに対する恐怖の裏返しとも言える。日本政府も、英国で隔離されている日本人1名の健康状態を注視するとともに、外務省を通じて領事支援を継続している。

洋上の孤立は終わったが、地上での「第2の防疫戦」は始まったばかりだ。世界各地へ散った乗客たちが、さらなる拡散の火種となるか、あるいは各国の「鉄壁の盾」がこれを食い止めるか、今後数週間の動向が世界経済と公衆衛生の命運を握っている。

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