米中貿易戦争「90日間休戦」…完全妥結までは道のり長く

米中貿易戦争「90日間休戦」完全妥結までは道のり長く

‐紛争拡大時には中国経済にも打撃…両国の休戦合意により交渉再開

‐「グローバル覇権掌握」への野心…具体的な妥結に至るまでの道のりは長い

2019年、新年初日に再び爆発する憂慮が高まっていた米中間の貿易戦争は、ひとまず最悪の状況は脱した。

ドナルド・トランプ米国大統領と習近平中国国家主席が1日、アルゼンチンのブエノスアイレスで閉幕した、主要20ヶ国(G20)首脳会議の舞台で引き出した答えは一言で言えば、「条件付きの休戦」と言える。米国の追加関税賦課による終わりの見えない関税戦争は、暫しの間は封印され、貿易戦争の不確実性に揺れていたグローバル金融市場も落ち着く事が期待される。しかし米中貿易戦争の本質は、根本的にはグローバル経済の覇権を巡る争いだという点で、今後の交渉も難航が予想される。

昨年4月「世紀の交渉」と呼ばれる両国首脳の初めての会談で、両者は100日計画(貿易不均衡に関する市場措置を100日以内に導き出す)に合意したものの、その結果は関税賦課合戦に至ってしまった。

■米中貿易戦争拡大自制…90日間の休戦
暴走機関車の様に走り続けていた米中間の関税戦争が、ひとまず落ち着いた事自体が、今回の会談の成果だと考えられる。チキンゲームにまで行き着いた両国の乱打戦が現実の物となれば、中国が米国に対して輸出する全製品に最高25%の関税が賦課される事になるからだ。

これまで米国政府が関税措置を賦課した中国産輸入品は、約2500億ドル(約2兆8400億円)の規模。今年7〜8月の500億ドル相当の中国産輸入品に対して25%の関税を賦課したのに続き、9月には2000億ドル相当に対して10%の関税を賦課している。更に追加として、来年1月1日から2000億ドル相当に対する関税率を10%から25%に高め、残りの2670億ドル相当に対しても、関税を賦課するというのが米国政府の方針だった。一方で1100億ドル(約1兆2500億ドル)規模の米国産輸入品に対して報復関税を賦課した中国も、即時対応で応酬するという立場だった。

全面的な関税戦争が両国首脳に政治的負担として作用する点も、今回の休戦の背景として考えられている。関税賦課が全面化した場合、習主席は中国の景気沈滞により政治的な基盤が弱まる事が憂慮される。トランプ大統領も同様に、米国の消費市場と企業業績の悪化に繋がり政治的負担が大きくなる。今回の会談で中国は、米国産の農業・エネルギー・産業製品を購入する事になり、その中でも特に農産物に関しては直ちに買い入れる事に合意し、農業地域を中心支持層に持つトランプ大統領の顔を立てた。これ以外にも、トランプ大統領が大きく関心を注いでいた麻薬性鎮痛剤(オピオイド)「フェンタニル」の規制に関して、中国がこれを規制薬物として指定する事に合意した。中国当局の制止により事実上中止となっていた米国クアルコムの「NXPセミコンダクターズ買収計画」にも再開の道が開かれた。

■交渉は接点探しが難航との予想
両国首脳間の合意により、米中貿易交渉団が本格稼働するとみられる。

「習近平主席の経済策士」と呼ばれる中国の劉河副首相が、今月中に大規模代表団を率いてワシントンを訪問し、スティーブン・ムニューシン財務長官が座長を務めるとみられる米国側の代表団と、貿易交渉を行うとみられている。半年振りに再開される両国間の貿易交渉だが、結果に関する展望は楽観的な物ではない。米中両国はワシントンと北京を行き来し、数回に渡る交渉を続けてきたものの、具体的な妥結案の導き出しは失敗に終わっていた。

中国が米国製品を大量に輸入し、米中貿易収支の赤字を直ちに解消出来る様な事案ではない。製品の原価構造のみならず、好調な米国経済による消費拡大もあり、人為的な交易調整にも限界があるためだ。

米中貿易戦争の根本的な衝突は、グローバル経済覇権を掌握するための超大国間の野心から始まったという点も、交渉難航の核心的な背景として考えられている。米国は中国の先端製造業への野心を込めた「中国製造2025」政策に関する変化をはじめ、金融市場開放や知的財産権侵害と技術移転の強要、サイバーセキュリティ問題の解決を求めている。一方、中国側は米国の要求に負け、自国の利益のための長期的な政策を修正する事は、容認する訳にはいかないとの立場だ。

翻訳:水野卓

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