新型コロナの別の顔「陰謀論」

米国カリフォルニア州の共和党の下院予備選候補だったジョアン・ライト氏は先月27日、自身のツイッターで奇妙な主張をした。同氏は「コロナウイルスは武漢の研究所で人工的に作られたものだ。ビル・ゲイツに誰が金を出したのか聞いてみろ」とツイートした。また他にも「ビル・ゲイツが金を出さなかっただと?ジョージ・ソロスが彼の親しい友ではなかったのか?」と投稿した。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏とソロス・ファンド・マネジメント会長でウォール街の億万長者の投資家ジョージ・ソロス氏は、共にドナルド・トランプ米大統領と仲が悪い事で有名だ。

更にとんでもない主張もあった。米国最大のキリスト教系大学、リバティー大学のジェリー・ファールウェル・ジュニア総長は今月の放送で、コロナウイルスは北朝鮮の生物兵器だとする疑惑を提起した。

また米国の有名陰謀説ユーチューバー、ダナ・アシュリー氏は先月、武漢で最初にスタートした5G移動通信サービスが免疫力を低下させ、ウイルス感染が拡大したと主張している。中国の5Gサービスは昨年11月、武漢を含む16都市で同時に常用化された。イラクでは事態の背景にユダヤ系金融資本のロスチャイルド一族がいるという噂まで上がっている。

現在までに確認された事実は、新型コロナウイルスが昨年末に中国湖北省武漢市の武漢華南海鮮卸売市場付近で集中的に発生した事、武漢から約900km離れた浙江省や雲南省に生息するキクガシラコウモリから、新型コロナウイルスと最大96%一致するウイルスが発見されたという事だけだ。

しかし香港メディアは先月、キクガシラコウモリが武漢華南海鮮卸売市場では売られていなかったと、新型コロナウイルスが市場近くにある中国政府の研究所から流出した可能性があると報じた。既に数年間に渡る貿易戦争に対して鬱憤が溜まっていた一部の米政治家らは、この様なニュースが伝わると、中国政府を非難して責任論を展開した。

中国も同様の批判を行なっている。中国外交部の趙立堅報道官は今月12日、自身のツイッターに「米軍が武漢に新型コロナウイルスを持ち込んだ可能性もある」とツイートした。中国の官営メディアも昨年10月に武漢で開かれた世界軍人体育大会に300人以上の米軍代表団が訪問した事を強調した。中国のネットユーザーらの間では、選手団は競技目的で訪問したと見るには怪しい点が多く、新型コロナウイルスが実は米軍の生物兵器で、選手団が故意に中国に広めたという噂が広まっていた。

新型コロナウイルスが米軍の生物兵器だという陰謀論は中国のみならず、米国に対して悪感情を抱くイランやロシアを中心に瞬く間に拡散した。米国防省は今年1月中旬からロシアで、米CIAによる「新型コロナウイルス作成説」が組織的に広まっている事を把握している。

歴史的に見ても大規模感染症が広まれば、ほぼ間違いなく陰謀論が付いて回る。14世紀のヨーロッパでは黒死病(ペスト)が猛威を振るうと、ユダヤ人が井戸に毒を入れたという噂が広がった。1918年からの2年間で少なくとも2500万人を死に追いやった「スペイン風邪」は、ドイツ軍の生物兵器だという疑いを受けた。ソ連は1983年、米国に広まるAIDSは米国政府が作成した同性愛者除去用の生物兵器だという噂を広めた。

主な海外メディアは新型コロナウイルスに関連した陰謀論が、現在とてつもない水準にまで増幅してしまったとみている。一番大きな原因は中国の閉鎖性だ。中国政府は未だに新型コロナウイルスの具体的な発生地がどこなのか、最初の感染者は誰なのかを明らかにしていない。

中国政府は26日、現地メディアの澎湃(ホウハイ)が昨年12月16日に陽性判定を受けた武漢華南海鮮卸売市場のエビ商人を最初の感染者だと主張した事に対しても反応を見せなかった。中東の衛生テレビ局アルジャジーラは、爆発的に増加した現代メディアを指摘し、小規模のメディアやSNSが陰謀論を増幅させていると報じた。

翻訳:水野卓
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