イスラエル関連“フェイクニュース“増加にEUがマスク氏の「X」に警告

‐X、10日の発表でコンテンツ管理に言及「最高レベルでの対応」約束
‐マスク氏買収以降のコンテンツ監視機能弱化が原因とも
‐EU、Xに対し増加しているフェイクニュースについて警告
現地時間今月7日に発生したイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスとの武力衝突以降、「フェイクニュース」が急増しているX(旧ツイッター)で、EUからの警告後、コンテンツ管理の強化が始まった。
Xのセキュリティーチームは10日、公式アカウントに「Xでここ数日、ハマスのイスラエル侵攻に関する文が5000万件以上投稿されている」と投稿した。また「Xの経営陣は、現在の状況は最高レベルの対応が必要な危機的状況だとの判断を下した」と、「最高レベルの対応を取る」とも投稿している。
Xは先週末、パブリックポリシーを改善し、暴力的要素や嫌悪的表現が含まれる投稿には、適切な対応を取っていると発表した。同時にハマスと連携していたり、トレンドワードのねつ造を試みたなど、数百のアカウントを削除したことも発表している。
更には、コンテンツによるオンライン・テロを防ぐため、独立機関「GIFCT(テロ対応のための世界インターネット・フォーラム)」と協力し、テロ・コンテンツが拡散することを防いでいると伝えた。
テスラのイーロン・マスクCEOは昨年、ツイッターを買収した後、経費削減の一環として虚偽情報監視スタッフを大量解雇している。また社会的影響力が大きい人物に付けられていた「ブルーチェック」を、一般人に対しても販売する形で開放した。
今月7日のハマスによるイスラエル襲撃以降、Xにはイスラエルがガザ地区を攻撃しているかの様にねつ造されたシリア紛争の映像などが投稿されている。またイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が病院に運ばれたというフェイクニュースが投稿されることもあった。米経済チャンネルCNBCは自社による分析の結果、同一の動画と説明が書かれた数十件の投稿が「虚偽」であることを示さずに拡散されていることを指摘。マスク氏も今月8日、自身のアカウントにイスラエル紛争を扱う良い情報窓口だと、ふたつのアカウントを推薦したが、両方ともフェイクニュース流布の前歴があるユーザーだった。このためマスク氏は、アカウントの推薦を取り消した。
EUのティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は10日、マスク氏に対し公開書簡を送付した。ブルトン氏は「Xにある、EU法に違反する潜在的不法コンテンツが当局の目に入って来ている」と、「必要であれば、これらコンテンツを適切な時期に削除しなければならないだろう」と、警告していた。
翻訳:水野卓
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