G2の激突…懸念しなくてもよい5つの理由

G2の激突…懸念しなくてもよい5つの理由

-キャピタル・エコノミクスの戦略家による分析
-両国の GDPにおける米中貿易の割合低
-ドルに対する人民元安により 、影響は一部相殺
-財政緊縮施行がされない限り、関税は重要減少へ繋がらない

拡大の一途をたどる米中間の貿易戦争。世界経済に深刻な影響を及ぼしかねないとの懸念が広がる中、両国の貿易関係の悪化が招くマクロ経済学的影響はさほど大きくないだろうという分析結果が発表され注目を集めている。

マーケットウォッチによると、キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・カニンハム氏は「米中貿易戦争が、企業やある特定の分野、そして両国間の通商戦争の巻き込まれる他国へ打撃を与えかねないとの懸念が提起されている。しかし、米中両国においてマクロ経済学的影響が出るのは限られた範囲のみだろう」との展望を明らかにした。カニンハム氏は経済調査会社キャピタル・エコノミクスの主席グローバルエコノミストだ。

カニンハム氏は前述の主張を説明するため、5つの根拠を提示した。まず「財政緊縮政策が施行されない限り、関税は必ずしも総需要を縮小させる要因ではない。関税が需要を減らすというよりは、貿易の流れが他国へ向かうなどの変化が起こる可能性がある」と語った。

2つ目の理由は、関税の影響により世界的に貿易量が減少することは考えにくいという分析だ。カニンハム氏によると、大部分の中国輸出品に対する需要弾力性はとても低いという。需要が価格の変化による影響を大きく受けないという意味だ。米国の対中輸出も、他地域へ変更される可能性がある。さらに中国産製品に賦課される米国の関税は、ドルに対する人民元安の影響により一部相殺される。ファクトセットによれば、ドル当たりの人民元相場は今年に入ってからこれまでに約5.5%上昇した。

3つ目の理由は、米中の国内総生産(GDP)において輸出の占める割合が小さいということだ。米中いずれも貿易への依存が見られるが、両国とも「超閉鎖的経済」の構造を持っているとカニンハム氏は指摘する。中国のGDPで輸出が占める割合は2006年の36%から昨年は約20%にまで縮小。米国の GDPにおける輸出比重は12%と中国よりもさらに低い。

さらに、米中GDPにおける両国間貿易の寄与度が低いというのが4つ目の理由だ。中国のGDPで対米貿易の占める割合は約2.5%、米国の場合は僅か1%だ。カニンハム氏は「予想に反して米中間の貿易が20%減少したとしても、双方のGDPに与える直接的影響はそれぞれ0.5%、0.2%だ」とし、恐れる理由はないと説明した。

最後の理由は、貿易戦争は両国の物価に大きな影響を与えないという予測だ。中央銀行の政策決定委員会は、経済指標として消費者物価を重視するため、貿易戦争が通貨政策に影響を及ぼす可能性は低いと言える。

カニンハム氏は「世界総輸出の22%を米中が占めているが、二カ国間の交易量は僅か3.2%に過ぎない。米中貿易戦争が世界の GDPに影響を与えるためには、保護主義が両国の貿易関係を超えさらに拡大されなければならない」とした。

彼の分析を裏付けるかのように、米中双方が相手側に2000億ドル、600億ドルという高額関税を投下した翌日の18日、世界の証券市場は全体的に上昇を見せた。前日に発表された米国の関税措置の影響がさほどでもないとして、ニューヨークの証券市場も大幅な値上がりを記録している。

翻訳者:M.I
info@fnnews.jp

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