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日産、米国で大規模な生産縮小へ…ホンダとの統合協議を見据えた再編

日産自動車は、主力市場である米国において2025年末までに生産部門の従業員を約2000人削減する方針で最終調整に入った。テネシー州スマーナ工場とミシシッピ州キャントン工場の2拠点の生産ラインを各1本停止し、米国内での生産台数を約25%削減する計画だ。

この動きは、ホンダとの経営統合協議の前提条件として進められるリストラ計画の一環であり、北米事業の再編を目指している。両工場の生産能力は現在年間約100万台に達するが、生産ラインの停止後、約75万台に縮小される見込みである。設備は維持し、市況回復時に再び増産可能な体制を整えておく。

さらに、電気自動車(EV)の生産計画も見直され、キャントン工場で予定されていた2026年からのEV5車種の生産開始が2028年以降に延期され、モデル数も4車種に減少する予定だ。

米国市場での販売台数は、2017年度以降約4割減少しており、特にハイブリッド車(HV)の不在が競争力低下を招いた。一方で、日産の北米事業は全社売上高の5割を占める重要な事業であり、2024年9月期の中間決算では、営業利益が前年同期の2414億円の黒字から41億円の赤字に転落するなど、深刻な業績悪化が続いている。

今回のリストラ計画は、日産が掲げるグローバルでの9,000人削減方針の一環だが、米国内で計画通りに実施できるかは不透明である。トランプ前大統領による国内雇用重視の圧力や、メキシコからの輸入車に25%の関税を課す方針など、政治的リスクも経営に影響を及ぼす可能性が高い。

日産は、北米事業の立て直しを急務としつつ、経営統合に向けた準備を着実に進めていく構えだ。

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