年金制度改革法案をめぐり、自民・公明両党と修正合意した立憲民主党が、有権者から強い批判にさらされている。立民は、厚生年金の財源を基礎年金（国民年金）の充実に活用することを提案し、与党側がこれを全面的に受け入れて法案を衆院で通過させた。政権担当能力をアピールする狙いだったが、ネット上では「厚生年金の流用だ」との批判が止まず、党内からは悲鳴が上がっている。
立民の山井和則ネクスト厚生労働相は2日、党内の会合で「メールや電話が鳴りっぱなしで、『もう応援しない』という怒りの声が殺到している」と状況を吐露。SNS上で広がる批判について「誤解だ」と繰り返し訴え、今後も丁寧な説明を続けていく考えを強調した。
また「ミスター年金」と呼ばれる長妻昭代表代行も「制度のほころびを早急に修正しなければ、将来的にさらに深刻な問題になる」と主張し、今回の修正合意の正当性を訴えた。
だが、批判は基礎年金の充実策だけでなく、遺族厚生年金の見直しにも集中している。SNSでは「遺族年金のカットだ」との情報が急速に拡散し、参院選を控える党幹部は「これほど改革に逆風が吹けば、誰も改革に手を出さなくなる」と嘆きを漏らす。
党は批判対策として、所属議員に向けて「年金改革法案に関するQ&A」を配布し、対応に奔走。さらに国民民主党の玉木雄一郎代表がSNSで遺族年金見直しについて「あり得ない」と強く批判したことで、野党内の分断も深まりつつある。
与党との協調姿勢を批判される中、立民内には石破茂首相への対決姿勢を改めて強めるべきだとの声が高まっており、年金問題をめぐる混乱は収束する気配を見せていない。
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