「老後資金を守りながら増やしたい」と望む高齢者は多いが、その手段として金融庁が検討する新制度「プラチナNISA」に対し、慎重な声が広がっている。
「プラチナNISA」は、高齢者が毎月一定の分配金を受け取れる制度として注目される一方で、「元本取り崩し」につながる懸念が指摘される。特に高齢者は年齢とともに判断力や金融リテラシーが低下する傾向があるため、本人が理解しないまま不適切な金融商品を購入するリスクが高まるという問題が浮かび上がる。
公益財団法人長寿科学振興財団によれば、認知機能の低下に伴い、高齢者の特殊詐欺や不適切な投資被害が近年増加傾向にあるという。2019年のかんぽ生命保険における高齢者への不適切販売事案(不利益契約が9万件超)も、記憶に新しい。
一方で、高齢世帯の約6割は年金収入だけでは生活費が不足している実態がある(LIMO調査より)。そのため、適切な金融商品が求められていることも事実であり、「プラチナNISA」が完全に不要とする意見ばかりではない。
専門家からは、「高齢者自身がリスクや仕組みを十分に理解できる制度設計と、販売ルールの強化が不可欠だ」との指摘がある。金融庁には、高齢者の特性を考慮した慎重な制度設計や、説明義務の強化など具体的な対策が求められている。













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