英国、EU離脱合意に相次ぐ閣僚辞任…交渉難化は不可避

英国、EU離脱合意に相次ぐ閣僚辞任…交渉難化は不可避
英国のEU離脱(ブレグジット)に関し、テリーザ・メイ英国首相と交渉中のEU側が今月25日、特別首脳会談を開きEU離脱合意文書に署名する事を決定した。前日にメイ首相が英内閣の同意を得ていただけに、EUとしては交渉を早急に進めたい立場だが、英議会は依然として激しい反発しており、署名までは困難が予想される状況だ。
英BBCなどの海外メディアによると、ドナルド・トゥスクEU欧州理事会議長は15日の記者会見でこのように語りつつ、20日までに両者間の将来の関係に関する内容を含んだ「政治的共同宣言」の仕上げを促した。しかし、EUが憂慮する特別な事柄が英国内で急激に進行している。メイ首相は前夜、ロンドンの首相官邸前で「閣僚らがEU離脱草案に合意した」と、「追って討論と検討を経る」と述べたが、メイ首相の言葉とは異なり、閣僚からは辞任が相次いでいる。
ドミニク・ラーブ欧州連合離脱大臣(ブレグジット大臣)は15日、自身のツイッターに「今日大臣の職を辞任した。ブレグジット交渉草案を支持しない」と投稿した。ラーブ氏は今回の交渉案はメイ首相が約束していたレベルより後退していると評価した。同日、シャイレッシュ・バラ北アイルランド担当閣外大臣もツイッターに、メイ首相に辞表を提出したと投稿している。バラ大臣は、「英国を独立した主権国家として残す事に失敗した」と嘆いた。
14日に公開された草案によると、英国はこれまでの計画通り、2019年3月29日にEUを離脱するものの、2020年末まで転換期間を設定してEU単一市場に残る。転換機関の間はEUの規制を順守しなければならない。金銭的な問題については、英国は転換期間が終了するまで、これまで通りEU財政の一部を負担することになる。英国内のEU職員らの年金も含まれており、英国が負担しなければならない金額は最大で390億ポンド(約5兆6600億円)とみられる。
この他に、両者は域内の相手国民の権利を保証し、来年3月末にEU離脱が実施された後には、自由貿易地帯の構築など将来の関係についての具体的な交渉を進める事とした。
草案で最も争点になった部分は、英国とEU間の物理的な国境になる北アイルランド問題だった。英国とEUは該当地域が完全に国境によって塞がれる状況を避けるため、「安全装置」を置く事にしたものの、これは新たな貿易協定が成立するまで、該当地域に一時的な単一関税地域を設定し、現行通りEUの規定に従って財貨の移動を監督する。
メイ首相の決定は、閣僚のみならず議会でより強い逆風を受けるとみられる。メイ首相は15日の議会で、与野党を相手に説得に打って出た。しかし政権政党の保守党でEUと完全な断絶を求める強硬派らは、安全装置条項により結果として英国が今後もEUの規制に従属する事になるとみている。ある関係者はBBCを通じて、「議会でとてつもない反発が起きるだろう」と、「首相に対する不信任投票の可能性も変わらず残されている」と伝えた。
第一野党労働党のジェレミー・コービン党首も同様に、今回の草案が国益に即していないと指摘している。
翻訳:水野卓