世界的なデザイナー高田賢三氏が詐欺?…韓国企業が告訴

写真:2009年12月。高田賢三(中央)さんとムン・ジヨン代表(右)
世界的なデザイナー高田賢三氏が詐欺?…韓国企業が告訴
世界的なファッションデザイナーの高田賢三氏が、韓国企業から1億ウォン(約960万円)相当の契約金を得ながら、契約通りにデザインの提供をしなかった容疑で告訴された事が分かった。高田氏は現在、韓国捜査機関の出頭要請に応じず、指名手配と共に起訴中止処分が下されている状態だ。
韓国の検察や警察によると、水原地検平沢支庁は昨年11月末、詐欺の疑いが掛けられている高田氏に起訴中止処分を下した。起訴中止とは、客観的容疑が充分でありながらも、被疑者の所在地不明などの事由で捜査を終了させられない場合に、その事由が解消されるまで捜査を中止する措置。
高田氏は指名手配された状態ではあるものの、現在モナコに滞在しており、自ら韓国に入国しない限り、身柄確保が事実上不可能な状態。高田氏はモナコで、自身のデザイン・名前・写真などのパブリシティ権を管理する会社を運営している。
■「契約金だけ受け取って契約は守らなかった」
韓国の厨房用品メーカー「リビングワールド(LIVING WORLD)」のムン・ジヨン代表は昨年7月、高田氏を詐欺容疑で京畿安城警察署に告訴した。警察は昨年中旬頃、高田氏を直接捜査する事は不可能だと指名手配をし、起訴中止意見を検察に送致した。当時警察は、高田氏側に出頭命令書を数回送付したものの、高田氏の反応は無かった。
告訴状によると、高田氏は2010年5月から2014年5月まで6回に渡り、リビングワールド側から15万ユーロ(約1870万円)の契約金を得ながら、契約通りに姓名・肖像の使用権と独創的なモチーフ(デザイン素材)を提供しなかった容疑が掛けられている。
ムン代表は、2010年3月にフランスで高田氏と出会い、「リビングワールドに厨房用品、食卓芸術陶器製品に使用するシルクスクリーンの独創的なモチーフをデザインし、これを毎年3件ずつ提供し、高田賢三の姓名と肖像使用を許可する対価としてロイヤリティーを支払う」という内容の契約を締結した。これによりムン代表は、高田氏側に2010年と2011年にそれぞれ5万ユーロを支払った。
しかし高田氏側は初年度のみモチーフを提供しただけで、これも日本の染織図案家である谷上廣南の絵をそのまま模倣した物だった。
また高田氏の商標に関する全ての権利も、1993年にLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループに売却されていたため、高田氏側には既に商標権が無かったと、ムン代表側は主張している。
■盗人猛々しい?高田氏も損害賠償請求
高田氏側は契約が終了した2012年12月、ムン代表に再びコンタクトを取り、「二回目の独創的なモチーフを提供する。その対価として5万ユーロ」を要求したが、実際にロイヤリティーを受け取ると、以後契約を守らなかったという。
しかも逆にムン代表と会社などを相手に、「契約が終了した後にもデザインと名前、顔などが刻まれた製品を販売していた」と、2015年10月に7億ウォン相当の損害賠償請求訴訟を韓国法廷に起こしている。
関連訴訟の二審裁判部は、「高田氏が提供したモチーフは、日本の民画を模倣していると言える物で、独創性があるとは言えない」と、「LVMHグループが日本企業KENZOを買収した後、高田氏はKENZOなどの商標を使用出来なかった事により、自身の権限を超えてリビングワールドと契約を締結したと言える」とし、原告敗訴との判決を下し、昨年4月に判決が確定した。
検察は、高田氏が自ら韓国の捜査機関に出頭する可能性は低いだけに、インターポールの国際手配要請を検討中だと伝えられている。
翻訳:水野卓