中国、600億ドルの報復措置…止まらない貿易戦争

米中貿易戦争1ヶ月間の主要動向
7月5日 | トランプ大統領、追加関税対象5000億ドル付加警告 |
7月6日 | 米中共に輸入品に340億ドル規模の関税付加措置 |
7月23日 | 米国貿易代表部、160億ドルの中国製品関税関連公聴会の開催発表 |
7月25日 | 中国政府の承認下りず、クアルコムのオランダNXPセミコンダクターズ買収断念 |
7月26日 | トランプ大統領・ユンカー欧州委員長、「EU関税障壁削減」合意 |
8月1日 | 2000億ドルの中国製品への関税率25%に引き上げ検討 |
8月3日 中国 | 米国製品600億ドル規模に報復関税検討 |
中国、600億ドルの報復措置…止まらない貿易戦争
-米中の対立続く
-米国25%の関税率で追加圧力…中国も異例の報復示唆
-水面下の接触続くも対立激化…再交渉妥結は難航
米中間の貿易戦争が本格化して1ヶ月が経過したが、解決の糸口は見えない状況が続いている。
先月6日、米国が中国製品340億ドル規模に対して、25%の関税付加措置を発効したのに続き、中国も即刻同等規模の報復関税を付加し、両国間の貿易戦争が始まった。貿易戦争が世界各国の企業と消費者に直接または間接的な被害をもたらす中、今後メガトン級の追加関税措置も待ち構えており、貿易戦争を取り巻く心理的な恐怖感は世界経済にまで悪影響を及ぼしている。
ここ1ヶ月間の貿易戦争が徐々に引くに引けない状況になりつつある一方で、水面下の交渉も試みてはいるものの、劇的な譲歩無しでは用意に妥結には至らないとの見方が多い。また7月1ヶ月間の関税付加施行による被害が、8月の米中の輸出入動向数値と企業の業績に一部反映し始めている。
■中国、600億ドルの報復関税公式化
340億ドル規模の関税付加措置を取ってから約1ヶ月。米中間の駆け引きは佳境に入っている。両国が340億ドルを含む総500億ドル規模の関税付加措置を取った後、米国は更に2000億ドルと最高で5000億ドルの関税付加の可能性を警告した。更に先週2000億ドルの関税付加率を10%から25%に引き上げる可能性があると警告し、対中圧力を強めている。すると中国も3日、米国製品600億ドル規模に異例の報復措置を取る事を公式に表明した。
中国が600億ドル規模の報復カードを切ったという事は、米国の対中圧力の強度が日増しに強まり、崖っぷちの守勢に立たされたためだという分析もある。また、習近平中国国家主席が米中貿易戦争に対処するにあたって、判断を誤り、米国に振り回されているという世論が造成された場合、リーダーシップに打撃を受けるため、今回の中国の反撃にはこういう懸念も反映されていると見られる。
160億ドル規模の関税付加措置は米中間の貿易戦争に衝撃を与えると見られる。米国は160億ドル規模の中国製品に対する25%関税付加に関して検討を終え、実行の可否を天秤にかけている状況だ。
■交渉は暗中模索…妥結は難航
貿易戦争は米中両国企業の損害につながるだけに、解決のための高位級交渉も水面下で積極的に進められている。
これについて、ドナルド・トランプ米国大統領は現地時間4日、ツイッターを通じて「(中国製品に対する)関税が誰の予想よりもより上手く作用している」と、「中国証券市場はこの4ヶ月間で27%下がり、彼らは私たちと対話をしている」と述べた。トランプ大統領は続けて「米国証券市場は以前より強くなっている」とし、「このひどい貿易取引から望ましい再交渉が成されれば、劇的に上昇するだろう」とも述べている。米中の再交渉が進められているという事を公式に認めた発言だ。米中貿易戦争1ヶ月を境に両国が報復カードを切った事は、再交渉で有利な立場を得るための布石だと考えられる。
しかしながら再交渉の道のりは平坦ではないとの見方もある。米国が2000億ドル規模の中国製品への関税率を15%引き上げた事に、中国も米国製品600億ドルに対する報復関税を宣言した。それは、両国の再交渉が順調ではないということを証明している。更にホワイトハウスのラリー・クドロー国家経済委員会(NEC)委員長は3日、中国の報復関税発表直後にFOXビジネスネットワークとブルームバーグTVに出演し、中国に宛てて「大統領を過小評価しない方が良い」と警告した。
香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)も、米中両国が秘密裏に折り合いを付けるための妥協点を模索したものの、失敗に終わったと報じている。
翻訳︰水野卓