[コラム] パクス・アメリカーナ VS パクス・シニカ

[コラム] パクス・アメリカーナ VS パクス・シニカ

-米中覇権競争は佳境へ
-米、貿易戦争からの先制攻撃

米国主導の世界平和を意味する「パクス・アメリカーナ」と中国主導の「パクス・シニカ」(中華覇権)が激しい対立を巻き起こしている。従来の覇権国と新たに台頭する大国。正面衝突しか道は無いのだろうか。”トゥキディデスの罠”という言葉の意味を実感する昨今である。

先週に予定されていたマイク・ポンペオ米国務長官の4回目となる訪朝が急遽取り止めとなった。ドナルド・トランプ大統領がここへ来て急ブレーキをかけたためだ。トランプ大統領は「我々の対中貿易攻勢が強硬化してきたので、中国も以前ほどには北の非核化プロセスに手を貸していないだろう」と、本音を打ち明けた。北朝鮮よりも、その後ろ盾(中国)がより目障りだと言わんばかりだ。

そうでなくても中国に向けて放たれたトランプ大統領の牽制球は、連日激しさを増すばかりだ。今月7日、ボーイング社など全13の企業からCEOを招いて行われた晩餐会では’手加減なしのハイキック’を炸裂させた。「中国から来た学生はほぼ全てスパイ」とし、中国による知識財産権の侵害を強く非難した。また「世界貿易の妨げとなるだけではなく侮辱的だ」と語り、習近平主席のビジョンである一帯一路(現代版シルクロード) 構想についてまで一蹴した。

貿易戦争を巡っては、米国側が勝機を掴んだという印象だ。米国による高率関税と真っ向から対抗してきた中国は危機に立たされている。第2四半期の成長率は年率基準で6.7%と、第1四半期に比べ0.2%下落した。

米中貿易戦争は当初から中国に不利だった。膨大な対米黒字をあげている中国は最初から大儀名分がなかった。さらに‟ドルの覇権“を持つ米国に‟シェール革命”という追い風まで吹いた。原油価格高騰時には交易条件が悪化する中国に対し、米国は遥かに有利な立場となる。

証券市場での劣勢や人民元の価値低下などに苦しむ中国は‟実弾”不足に悩まされている。一帯一路構想に支障をきたしているのも、これと無関係ではない。米国と欧州連合(EU)は最初から当該事業を、発展途上国に負債を負わせ当該国を支配しようという「債務帝国主義」と見ていた。しかし今年の上半期、一帯一路に関与した計55カ国に対する中国の直接投資額は昨年に比べ15%も減少。習主席が「中国の夢」(中華民族の偉大なる復興)思想を中途半端に掲げてしまった感が否めない。鄧小平の「韜光養晦」(才能を隠し、内に力を蓄える)を忘れ去ったまま…

無論、トランプ大統領が手動する「ネオ(新)パクス・アメリカーナ」が安着したと見るのはまだ早い。彼自身、ロシアスキャンダルにより弾劾危機にさらされている状況だ。明らかなのは、彼が中国の攻撃を振り切るために発動した‟米国ファースト“という新兵器が、直弾ではなく散弾だという点だ。中国に連結する送油管などに620億ドル(約7兆円)を投資したパキスタンなどがその影響を受けたと思われる。米国が「(お金が)中国へ流れる」として国際通貨基金(IMF)の救済措置に反対したため、進退両難に直面したのだ。

軍事面においても米中覇権競争が広がろうとしている。既にトランプ大統領は、非核化交渉と貿易戦争を連携させている。韓国も対岸の火事視をしている場合ではない。釈然としない北朝鮮産石炭輸入の末路が懸念される。故意にしろ過失にしろ、対北制裁網の無力化を画策する中国と足並みを揃える結果となってしまったのだから。

米中という二匹のクジラが、朝鮮半島海域で再び戦を交えようとしている。文政権があえて中国と対立する必要はないが、米韓同盟に背く行為はより危険なギャンブルだ。米国が中国よりも強いからではない。自由と人権、そして民主主義と福祉。様々な側面から見て未だなお、‟米国的標準“が世界文明史の流れに沿っているからである。

ク・ボンヨン
翻訳者:M.I
info@fnnews.jp

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