ドラマ「SKYキャッスル」のシンドローム…韓国社会問題が露わに

ドラマ「SKYキャッスル」のシンドローム…韓国社会問題が露わに
ドラマ『SKYキャッスル』の人気がとどまることを知らない。「SKYキャッスル・シンドローム」という言葉まで誕生している。
韓国ケーブルテレビのドラマでは歴代最高視聴を記録し、毎回放送後にはポータルサイトのリアルタイム検索語1位に浮上。台本流出騒動やこれに対する制作陣の警告、登場人物のモノマネや各種パロディを盛り込んだYouTube動画、「SKYキャッスル・シンドローム」というタイトルが付けられた多くの記事…
「SKYキャッスル・シンドロームは、変わらない現実に憤り絶望するほかない国民にささやかなファンタジーを与えたことに始まった」と分析する人もいる。
老若男女・職業・地域を問わず全ての韓国人にとって最も重要な話題は「教育」である。受験シーズンが終わればその年の難易度を分析する記事が必ず出るなど、受験生とその父兄だけではなく国全体が受験に翻弄される。学習塾で開催される大学入試関連の説明会には毎回人だかりができる。
名門大学への入学は子どもの運命だけでなく、その両親やひいては家庭の幸福までも決定する鍵を握っていると考えられている。父親が名門大学卒のエリートでありながら子供が名門大学に入学できなかった場合、母親が入試を疎かにしたせいだと批判されることもあるのだ。
大学入試や高校の定期試験で不正が行われると、ポータルサイトはさらに白熱する。過去にはチェ・スンシルの娘であるチョン・ユラの梨花女子大学不正入学が、朴槿恵元大統領の弾劾の契機になったと見る向きもある。また昨年に淑明女子高校で不正が起こった際は、事件が収束を迎えるまでポータルサイトは連日大騒ぎだった。
ドラマに登場する入試コーディネーターや高額の家庭教師に人々が関心を持つ理由は、上流層に有利な入試だと批判される「学生簿総合選考」の比重が過度に拡大したためと見られている。
しかし最近の就職難により、名門大学を卒業した者といえども就職は容易ではない。人手不足に喘ぐ中小企業は多いが、就活生たちは皆一様に大企業や公企業を好む。
企業に入社しても60歳定年が保障されるわけでもない。早期退職やリストラ等により50歳前後で退職する人も増えている。退職後に始めた事業で負債を抱え数年のうちに廃業するケースが多く、自営業の廃業率は史上最高値を更新したことも記憶に新しい。そのため40歳の会社員までもが、定年が保障されている公務員になろうとソウル・鷺梁津(ノリャンジン)の塾街に集まる。
ではドラマのように名門大学を卒業して医者などの専門職に就けば、一生幸せに暮らせるのだろうか。負債を負い自己破産を申請する職業別のランキングを見ると、医師・歯科医師・漢方医師が5位以内に入っている。
国連傘下の諮問機関である「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が、世界156カ国を対象に国民の幸福度を調べた’世界幸福度ランキング2018’によると、1位はフィンランド、韓国は57位であった。
フィンランドの学生たちは幼い頃から順位付けを受けたことがなく、「競争」よりも「協力」を重視し、他人と協力しながら自身の価値を高める教育をされるという。
脚本家は「ドラマを通して一家庭でも多くを救いたい」という思いから脚本を書いたという。
「SKYキャッスル・シンドローム」を契機に、競争から卒業し皆が共存できる韓国社会へと変化することを願う。
翻訳者:M.I
【注目の韓流ニュース】