政府は3月16日、イラン情勢の悪化に伴う原油供給不安を受け、石油備蓄の放出を開始した。ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年以来、約4年ぶりの措置となる。
放出はまず民間備蓄15日分から始まり、その後に国家備蓄1カ月分を追加する。総放出量は約8000万バレルで、国内備蓄の約2割に相当する。石油備蓄の放出としては過去最大規模となる見込みだ。
石油備蓄法により日本では政府と民間企業に備蓄が義務付けられている。2025年末時点で、民間備蓄101日分、国家備蓄146日分など計254日分を保有している。
背景には中東情勢の急激な緊迫化がある。米国・イスラエルとイランの交戦を受け、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖状態となり、原油供給への懸念が高まった。日本は原油輸入の約94%をサウジアラビアなど中東地域に依存している。
現在ホルムズ海峡を通過中のタンカーは今月20日ごろ日本に到着する見通しだが、その後は輸入量の大幅減少が見込まれている。
国際エネルギー機関(IEA)加盟国も協調して備蓄を放出する方針で、放出量は過去最大となる4億バレル規模となる見込み。2022年のロシアによるウクライナ侵攻時の1億8200万バレルを大きく上回る。
政府は備蓄放出と並行して燃料価格の抑制策も実施する。ガソリンの全国平均小売価格を1リットル170円程度に抑える方針で、経済産業省は19日の出荷分から170円を超える分を補助する。軽油、灯油、重油にも同様の措置を適用する。
高市早苗首相は「国民生活を支えるため、支援策を柔軟に検討していく」としている。
中東情勢の長期化が現実となれば、日本のエネルギー安全保障は大きな試練に直面する可能性がある。

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