台湾が脱原発を放棄…その理由は?

台湾が脱原発を放棄…その理由は?
台湾の蔡英文政権の脱原発政策にブレーキがかかっている。先月24日、地方選挙と同時に実施された国民投票で民心が明らかとなったからだ。
台湾中央選挙委員会によると「2025年までに現在稼働中の全ての原発を停止する」という内容を含む電気事業法の条項の見直しが、賛成589万5560票(59.5%)で可決された。これにより、脱原発を公約に掲げた民進党政府のUターンは避けられなくなった。台湾の事例をベンチマークとして脱原発に動いてきた韓国の文在寅政権にとっても、今回の件は他人事ではなさそうだ。
2016年の選挙で勝利した蔡英文政権は昨年、原発4基のうち2基の稼働を停止。すると昨年8月、対象地域の全世帯64%で大規模な停電が発生し、以降の電気料金も大幅に値上がりした。脱原発政策放棄の出口として地方選挙を活用しようとしていた民進党政府だったが、結果は予想以上の惨敗だった。
韓国政府も長・短期エネルギー転換政策を改めて見直さなければならない。昨夏の電力需給不安定、韓国電力公社や公営企業の収支悪化など、すでに危険信号が灯っている。
先日行われたある世論調査では、韓国国民の68%が原発の維持または拡大を支持しているという結果が出たが政府は馬耳東風といった調子だ。国内で脱原発姿勢に固執すれば、海外原発の受注競争からも出遅れることになる。韓電が昨年に獲得した英国ムーアサイド原発の優先交渉権も、結局は無意味なものとなってしまった。
脱原発への速度調整は、最近の世界的傾向と言える。マクロン仏大統領は「最優先すべき課題は、二酸化炭素の排出問題と地球温暖化対策だ」とし、石炭火力発電の全廃に注力している。原発削減については 10年ほど先送りにする方針だ。
“炎の輪”とも呼ばれる環太平洋造山帯に属する日本や台湾までが、完全な脱原発は諦めたほどである。国家によって事情は多少異なるが、過度な焦燥や固執による失敗を恐れているのだろう。台湾の事例を受け、韓国政府も今一度の検討が必要ではなかろうか。
翻訳者:M.I