激化する米中関税報復戦…中、白書で「交渉決裂は米の責任」

激化する米中関税報復戦…中、白書で「交渉決裂は米の責任」
-中国「最後まで戦う準備」
6月に入り、米中がお互いに追加の報復関税を賦課し、激しい報復戦に突入した。両国ともに追加関税の猶予期間を置き、水面下での交渉の可能性は残したものの、状況は米中のプライドを掛けた戦いになりつつある。グローバル経済における両大国の経済萎縮と交易の変動性により、世界経済への打撃も避けられないとみられる。
■全面戦争、チキンゲームに進むか
貿易交渉妥結を求めて来た中国が2日、米中貿易交渉に関する中国の立場を伝える白書を発表し、米国との決戦の意思を明らかにした。中国国務院新聞弁公室はこの日の午前10時、「中米貿易交渉に関する中国の立場」と題した白書を通じ、米中貿易戦争の原因は米国にあると伝えた。
また、「米国が立場を翻し、交渉に真摯に臨まず、貿易交渉が決裂した」と批判している。白書では、「中国は貿易戦争を望んではいないものの、恐れてもいない」と、必要とあれば貿易戦争も辞さない事を明白にしている。
白書発表後の記者会見で、王受文中国商務部副部長は、「米国は関税引き上げ撤回など、両国首脳が昨年合意した事案について、既に引き上げた関税の撤回は難しいとするなど、引き続き立場を翻している」と、「また米国は交渉過程で、合意文に中国の主権を侵害する内容を組み入れようとした」と非難した。
米中貿易戦争が深刻化する中で、この様な白書を発表した中国は、これまでに賦課された関税の撤回と、内政干渉と見なされる米国の要求は決して受け入れないとの意思を、国外に向けて知らせたのだとみられる。
中国の白書発表は、両国による追加関税の報復戦が本格化した時点で出されたという事が注目される。中国は1日0時を期に、600億ドル(約6兆4900億円)規模の米国産輸入品に対し、最大25%の追加関税を発動した。米国が先月10日、2000億ドル規模の中国産輸入品に対する関税を25%に引き上げた事に対する報復措置に該当するとみられる。
■中国、今度は米フェデックスに照準
この様な中、中国当局は、米国の物流企業フェデックスがファーウェイの貨物の届け先を変える誤謬を犯した事について、調査に入る予定だとしており、今後の波乱が予想される。
人民日報などはこの件に関して、「利用者の合法的な権益を重大に侵害したため」だと伝えている。フェデックスは、ファーウェイが先月日本から中国のファーウェイ事務室に送った貨物2個を、米国テネシー州メンフィスにあるフェデックス本部に送った事が分かっている。
また、米中貿易摩擦が長期化した場合、世界的な投資心理が萎縮し、株式や金融市場に及ぶ悪影響も憂慮される。問題は、両国間の貿易紛争が経済覇権を巡る主導権争いのレベルを超えているという事だ。
台湾問題や南シナ海の領土紛争など、非経済分野でも両国間の摩擦は高まっている。主要海外メディアによると2日、中国の魏鳳和国防部長はこの日、シンガポールのシャングリラホテルで行われた第18回アジア安全保障会議の本会議演説で、「米国が始めた貿易摩擦について、もし米国が対話を望むのであれば、私達はドアを開けておくが、戦いを望むのであれば、私達は準備が出来ている」と話した。
同氏は台湾問題に関し、「台湾に対して干渉する、どの様な行為も失敗に終わる運命」だと、軍事力も動員出来ると主張した。
翻訳︰水野卓
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