韓国、経常収支が7年振りに赤字… 成長率と雇用も異常シグナル

韓国、経常収支が7年振りに赤字… 成長率と雇用も異常シグナル
-成長率・雇用指標も低調
-韓国は“外国人投資家への配当”ばかりを指摘
韓国の経常収支が7年振りに赤字に転落した。韓国銀行が5日に発表した「4月の国際収支動向」によると、経常収支は6億6000万ドルの赤字。これにより2012年4月から先月まで、83ヶ月間続いていた黒字基調が途絶えた。
韓国経済に赤信号が灯った。経常収支は成長率や雇用とともに、国家経済を支える3本柱だと考えられているが、その3本柱全てが低調だ。先ず最初に雇用が異常シグナルを発した。昨年2月から就業者の増加幅は1/3程度にまで下がり、激しい減少傾向を見せている。また今年の第1四半期には、成長率がマイナス(−0.4%)を記録した。更に今回、経常収支までもが赤字に転落した。経常収支は国家経済の最後の砦と考えられており、状況はより一層深刻だ。
しかし、韓国政府と韓国銀行は状況を軽く見ている様だ。韓国銀行関係者は4月の経常収支の赤字について、「一時的な現象であり、経済的意味を過度に付与する必要は無い」と話した。果たしてそうなのだろうか。
「一時的な現象」との指摘には、妥当な点と、妥当ではない点が含まれる。韓国銀行は、「4月に外国人投資家への配当の支払いが集中しており赤字となったが、5月には黒字になる」と説明している。しかし、昨年4月には配当による赤字が今年より大きかったにも関わらず、黒字は維持していた。経常収支の赤字を配当の支払いのせいにばかりしていてはいけない。
経常赤字の根本的な原因は、輸出の減少に求めなければならない。輸出は昨年12月から先月まで、前年比で6ヶ月連続の減少となっている。輸出の減少が止まらなければ、国際収支に持ち堪える術はない。配当の支払いは副次的な要因でしかない。持続的な輸出の減少が、経常収支の赤字をもたらしたと見るべきだ。輸出が回復しなければ、今後も引き続き経常収支の低調は必至だ。ところが輸出の展望は明るくはない。今年5月には、経常収支の先行指標である貿易収支が黒字を維持したものの、黒字幅は前月比で63.5%も急減した。
韓国政府と韓国銀行は、経常赤字転落を重く受け止めなければならない。輸出不振の原因の中のひとつ、米中貿易摩擦が長期化する可能性も高まっている。米中の貿易摩擦がモノの交易のみならず、技術や資源分野まで広がった事で、覇権争いの様相を見せているからだ。米中の摩擦が長期化すれば、韓国の様に貿易依存度が高い国が、最初に被害を被る事になる。
よって輸出不振の根本的な原因を把握し、深みのある解決法を求めなければならない。輸出のみならず、成長や雇用と国際競争力などを包括する総合的な対応策が必要だ。韓国経済のファンダメンタルの再点検が急がれる。
翻訳︰水野卓