米国手堅い6月雇用統計、「0.5%」金利引き下げ遠のく

米国手堅い6月雇用統計、「0.5%」金利引き下げ遠のく

-目に見える鈍化に至らず「過剰」反応との見方
-米FRB、0.25%引き下げへ足固め

米FRBによる0.5%の金利引き下げの可能性が事実上消滅した。手堅い雇用統計が背景にある。目に見える“鈍化”が現れない中で先制的な金利引き下げとして0.5%はやり過ぎだとの考えが説得力を増している。しかしFRBが金利引き下げの可能性を示唆しながら言及した世界経済の鈍化、貿易戦争の不確実性に変わりはなく、0.25%の金利引き下げ予想は現実化しつつある。

ジェローム・パウエルFRB議長の今週の上下院証言で、FRBの金利引き下げ方針が改めて確認されるとみられる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは最近の分析記事で、6月の雇用統計発表により今月の0.5%の金利引き下げの可能性は事実上消滅したと報じた。米国労働省によると、先月の失業率は3.7%で小幅に上昇したものの、依然として過去50年で最も低い水準に留まっている。非農業部門の雇用者数も22万4000人増と好調を維持している。

これにより今年6月までの本年上半期の雇用者数の増加幅は月平均で17万人となった。昨年下半期の月平均23万3000人よりは低い水準となったが、有効労働力が減少している点を考慮すれば手堅い水準だ。これはFRBが0.5%の金利引き下げを断行するかもしれないとする予想を、市場から退出させる役割を果たしたとみられる。先月のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見とニューヨーク外交関係クラブの演説でパウエル議長が金利引き下げの可能性に言及した事で、0.5%の金利引き下げ予想は急激に支持を得て、ある時点では確率50%を超えるまでに跳ね上がっていた。

手堅い雇用統計は、今月30〜31日のFOMCで0.5%の引き下げを「過剰反応」と見做し、突発的な変数が現れない限り、0.5%引き下げの可能性は消滅したと見なければならない。

しかし0.25%の金利引き下げ予想には影響が無いとみられる。パウエル議長が金利引き下げの可能性に言及したのは、経済数値の鈍化による米国の景気下降が理由となるのではなく、世界経済の鈍化と米中間の貿易戦争による不確実性に原因を置いているからだ。パウエル議長は5月以降の6〜8週間の間に「相当に多くの変化があった」と、貿易と世界経済成長を取り巻く憂慮が高まったと話している。

手堅い6月の雇用統計は米国経済がまだこの様な外部要因に別段の衝撃を受けていない事を示唆しているが、企業投資や産業生産を萎縮させる外部衝撃が、結局は米国の経済活動の4分の3を占める消費とサービス業にまで広がる可能性があるとの憂慮の声を消す事は出来ない。

予防的な金利引き下げの根拠と展望には変化が無い事を意味している。FRBは過去1995年と1998年にも景気沈滞の可能性を事前に遮断するため、保険的な性格を持つ予防的金利引き下げを行った事がある。

FRBの金利政策は10〜11日のパウエル議長の上下院証言でもう少しはっきりするとみられる。パウエル議長は10日に下院金融サービス委員会、11日に上院銀行委員会に出席し、FRBの通貨政策と米国の経済状況について証言する。FRB議長はハンフリー・ホーキンス法により上半期と下半期の年2回、それぞれ上院銀行委員会と下院金融サービス委員会に出席し、通貨政策に関して証言する事が義務付けられている。

翻訳︰水野卓
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