中国の米債保有、17年以来の低水準を記録

中国の米債保有、17年以来の低水準を記録
-米中貿易戦争激化による「報復カード」との見方も
-実際には両国経済への打撃が予想
米中貿易戦争が激しさを増す中、中国の米国債保有量が2017年5月以降の低水準を記録した。
これは、今年3月に中国政府が米国債を4ヶ月振りに売却した事によるもの。一部では、この様な中国の動きは、米中貿易戦争における中国の報復カードだとみられている。しかし米国債の投げ売りは、米中両国の経済を沈滞させる危険性もあり、「核オプション」にも喩えられている。
■3月の1ヶ月間で米国債204億ドル売却
ブルームバーグ通信は15日、米財務省の集計を引用し、中国が今年3月の1ヶ月間に売却した米国債の規模は、204億5000万ドル(約2兆2480億円)に達すると報じた。
この結果、中国が3月基準で保有する米国債は1兆1205億ドル(約123兆2000億円)となった。これは1兆1022億ドルを記録した、2017年5月以降の低水準となる。
中国は、貿易戦争への憂慮が高まっていた昨年6月から11月まで、5ヶ月連続で米国債の保有量を減らしている。
ブルームバーグ通信は、中国が米国債の保有量を減らす傾向が目に見えて現れているという事は、「これが米国の関税爆弾予告に対する報復カードだ」としながらも、「米経済に実質的な打撃を与えるには、実現可能性が低い」と報じた。
■中国の「報復カード」とは考えにくい
中国は依然として米国債を最も保有している国家。中国が保有している米国債の規模は、今年3月末基準で全米国債の17.3%に達する。
米国債の大量売却は米国債の価格を下げ、これにより中国が保有している外貨資産の価値も急減させる事となり、中国にとっても大きな負担に繋がる。米経済チャンネルCNBCは、これについて「中国にとって”米国債売却”は、自身が破滅する可能性もある核オプション」だと言及している。
また、国債市場は中国の米国債投げ売りがあっても、金利急騰には至らない様子を見せている。ウォール・ストリート・ジャーナルは14日、「中国が米国債を売却する事は不可能ではないが、現実とは距離がある」と伝えた。
国債市場はFRBの通貨政策の動きには敏感に反応するが、徐々に金利引き下げへの期待感が高まる状況で、中国が米国債を売却したとしても、金利急騰には至らないという考えだ。同紙は「むしろ米中貿易戦争激化により、不確実性が増幅すれば、代表的な安全資産である米国債投資への魅力が浮上する可能性もある」と分析した。
翻訳︰水野卓
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